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ファゴサイトーシス
PS受容体の新たな候補

Phagocytosis
New Candidates for the PS Receptor

Editor's Choice

Sci. STKE, 20 November 2007 Vol. 2007, Issue 413, p. tw420
[DOI: 10.1126/stke.4132007tw420]

Nancy R. Gough

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : プログラム細胞死、すなわちアポトーシスにより死亡する細胞の迅速な除去は、この意図的な細胞死応答が炎症を引き起こさないようにする重要な機構である。ホスファチジルセリン(PS)は、アポトーシス細胞の表面に提示される膜脂質である。細胞表面では、PSはこのような死細胞がファゴサイトーシスを行なう細胞により認識されるための主要なシグナルであると考えられる。2つのグループにより、PSに結合し、アポトーシス細胞の認識およびファゴサイトーシスにとって重要であると考えられるタンパク質の同定が報告されている。Parkらは、ファゴサイトーシスと関連するアクチン細胞骨格の変化を誘導するシグナル伝達カスケードの一部であるRacと、そのグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)であるEMLO/Dock180複合体と相互作用するタンパク質を求めて、酵母2-ハイブリッドスクリーニングを行ったところ、脳特異的血管新生阻害因子1(BAI1)(トロンボスポンジンリピート(TSR)とRGDドメインを有する、伸長した細胞外領域を持つ7回膜貫通型タンパク質)を同定した。非ファゴサイトーシス細胞やマクロファージにBAI1を強制発現させたところ、アポトーシス胸腺細胞またはアポトーシス細胞を模倣するビーズの取り込みが増強された(BAI1は、遺伝子導入されていないヒト単球とマクロファージ、マクロファージ細胞株、脾臓、骨髄において検出された)。PSに結合するアネキシンVは、RGDおよびTSRドメインを含有するBAI1断片で細胞を処理した場合と同様に、アポトーシス細胞のBAI1促進性ファゴサイトーシスを阻害したが、TSRドメインを欠損する断片は阻害しなかった。また、BAI1のTSRドメイン断片は、マウス腹膜に同時注入すると、標識ビーズのファゴサイトーシスを阻害した。マウス初代培養アストロサイトのBAI1をノックダウンしたところ、ビーズやアポトーシス胸腺細胞のファゴサイトーシスが低下した。Miyanishiらは、マウス腹腔マクロファージに対する抗体のパネルをスクリーニングし、T細胞免疫グロブリン・ムチンドメイン含有分子4(Tim4)を認識する抗体がアポトーシス細胞のPS依存性ファゴサイトーシスを阻害することを突き止めた。Tim4のmRNAは、腹腔細胞、脾臓、リンパ節、唾液腺において検出され、単一の膜貫通ドメインを持つTim4を非ファゴサイトーシス細胞に強制発現させたところ、アポトーシス細胞のファゴサイトーシスが促進された。胸腺におけるアポトーシスを誘導する処置の後、マウスにTim4を認識する抗体を注入したところ、アポトーシス細胞のファゴサイトーシス障害と自己抗体の産生が認められた。Tim4細胞外ドメインと抗体受容体のFcドメインとの融合タンパク質(Tim4-Fc)は、アポトーシス細胞またはニトロセルロースフィルター上のPSスポットに結合した。Tim4またはTim1 のIgVドメインを含有する融合タンパク質は、PSでコートしたマイクロタイタープレートに結合した。ところが、Tim2およびTim3ファミリーメンバーの同じドメインではこうした結合が認められず、全長タンパク質を過剰発現させてもアポトーシス細胞のファゴサイトーシスは促進されなかった。エキソソームは、ある細胞から放出される膜断片であり、細胞間のコミュニケーションを仲介することがあるが、その表面にPSを有している。そして、Tim4またはTim1のいずれかを発現する細胞は、エキソソーム様小胞と結合した(金標識電子顕微鏡法を使用)。PSは、Tim4とTim1とのヘテロ・ホモ親和性相互作用を促進するようであった。著者らは、Tim1とTim4は、アポトーシス細胞とエキソソームの両方の認識に関与するPS受容体として機能するのではないかと述べている。

M. Miyanishi, K. Tada, M. Koike, Y. Uchiyama, T. Kitamura, S. Nagata, Identification of Tim4 as a phosphatidylserine receptor. Nature 450, 435-439 (2007). [PubMed]

N. R. Gough, New Candidates for the PS Receptor. Sci. STKE 2007, tw420 (2007).

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