高血圧 塩を克服

Editor's Choice

Science Signaling, 22 January 2008
Vol. 1, Issue 3, p. ec23
[DOI: 10.1126/stke.13ec23]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 塩類は高血圧を促進させることがよく知られているが、動脈平滑筋の状態の調節に関与する機序についてはあまり明らかにされていない。このことは、特に基礎血圧と塩誘発性の高血圧のどちらにも同様または異なる機序が関与しているのかについての理解という点で当てはまる。ミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化は、高血圧に関連した血管の収縮に重要である。多数の受容体が、へテロ三量体であるGTP結合タンパク質(Gタンパク質)のGqおよびG11ファミリーの活性化を介したMLCキナーゼの刺激、またはG12 and およびG13 Gタンパク質を介した、MLCを不活性型に戻すホスファターゼの阻害により、MLCのリン酸化を促進する。Wirthらは、タモキシフェンにより平滑筋細胞におけるGqおよびG11または G12およびG13の欠損(Gq-G11 KOまたはG12-G13 KO)が誘導されるマウスを作製した。タモキシフェン処理により全てのマウスにおいて血圧上昇が認められ、野生型およびG12-G13 KOマウスの血圧は基礎レベルに速やかに戻った一方で、Gq-G11 KOマウスの血圧は基礎レベルより10〜15%低下したことから、GqおよびG11の基礎血圧調節への関与が示された。野生型マウスの塩刺激により血圧は上昇したが、Gq-G11 KOおよびG12-G13 KOマウスは影響を受けなかったことから、Gq-G11およびG12-G13 Gタンパク質の両者が塩誘発性の高血圧に介在していることを示している。平滑筋細胞に存在し、ミオシンホスファターゼの阻害を誘導するG12およびG13のエフェクター分子であるLARGを欠損したマウスは、塩刺激に対してG12-G13 KOマウスと同様の反応を示した。Schonerが解説で論じているように、本研究は、基礎血圧の調節に影響を及ぼすことなく塩誘発性の高血圧を阻害する治療法の開発を可能にするものである。

A. Wirth, Z. Benyo, M. Lukasova, B. Leutgeb, N. Wettschureck, S. Gorbey, P. Õrsy, B. Horvath, C. Maser-Gluth, E. Greiner, B. Lemmer, G. Schutz, J. S. Gutkind, S. Offermanns, G12-G13-LARG-mediated signaling in vascular smooth muscle is required for salt-induced hypertension. Nat. Med. 14, 64-68 (2008). [PubMed]
W. Schoner, Salt abuse: The path to hypertension. Nat. Med. 14, 16-17 (2008). [PubMed]

J. F. Foley, Pass on the Salt. Science Signaling 1, ec23 (2008).

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