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免疫学 
プロテアーゼのような姿でプロテアーゼのようにふるまう・・・

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Like a Protease, Walks Like a Protease...

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Sci. Signal., 26 February 2008
Vol. 1, Issue 8, p. ec69
[DOI: 10.1126/stke.18ec69]

L. Bryan Ray

Science, Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : MALT1(粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座1)タンパク質は、プロテアーゼに類似した配列を有する。しかし、そのもっとも特徴的なシグナル伝達における役割は、プロテアーゼ活性に由来するものではない。MALT1は、T細胞やB細胞の抗原受容体から転写調節因子NF-κBにシグナルを伝達するシグナロソームタンパク質複合体の構成要素である。シグナロソームにおいて、MALT1に想定されるプロテアーゼ活性はNF-κBの活性化に必須ではないと考えられ、MALT1はそのかわりにIkBキナーゼγ(IKKγ)のユビキチン化に関与する。最近の2報の論文によって、プロテアーゼの触媒ドメインが実際にT細胞活性化の際に有効に利用されることが示されている。Rebeaudらは、アダプタータンパク質Bcl-10(これもシグナロソームの一部である)が、MALT1を介するタンパク質分解の標的であることを示している。Rebeaudらは、MALT1のプロテアーゼ活性の阻害物質の開発へと研究を進め、T細胞受容体を介してNF-κBまではMALT1活性は必要ないが、NF-κBを最適に活性化するにはプロテアーゼが必要であることを示した。さらに、siRNAを用いてMALT1あるいはBcl-10を欠乏させることにより、活性化T細胞をフィブロネクチンに最適に接着させるためは、Bcl-10の切断が必要であることを示した。Coornaertらは、MALT1を介するタンパク質分解の別の標的を発見した。それは彼らが発見したNF-κBシグナル伝達経路の阻害因子のA20タンパク質であり、これもまたシグナロソームに動員される。A20には脱ユビキチン化酵素活性があり、その標的の1つがIKKgである。MALT1を介してA20が切断されると、IKKgと相互作用するA20の結合ドメインが切り落とされ、IKKgの脱ユビキチン化が阻害される可能性がある。このように、MALT1のプロテアーゼ活性は、見かけ上は抗原に対する免疫応答に少なくとも2つの作用、すなわちNF-κBシグナル伝達経路阻害因子の不活性化とインテグリンを介する細胞接着の促進を示す。McAllister-LucasとLucasが背景説明と解説を行っている。

F. Rebeaud, S. Hailfinger, A. Posevitz-Fejfar, M. Tapernoux, R. Moser, D. Rueda, O. Gaide, M. Guzzardi, E. M. Iancu, N. Rufer, N. Fasel, M. Thome, The proteolytic activity of the paracaspase MALT1 is key in T cell activation. Nat. Immunol. 9, 272-281 (2008). [PubMed]
B. Coornaert, M. Baens, K. Heyninck, T. Bekaert, M. Haegman, J. Staal, L. Sun, Z. J. Chen, P. Marynen, R. Beyaert, T cell antigen receptor stimulation induces MALT1 paracaspase-mediated cleavage of the NF-ΚB inhibitor A20. Nat. Immunol. 9, 263-271 (2008). [PubMed]
L. M. McAllister-Lucas, P. C. Lucas, Finally, MALT1 is a protease! Nat. Immunol. 9, 231-233 (2008). [PubMed]

L. B. Ray, Looks Like a Protease, Walks Like a Protease... Sci. Signal. 1, ec69 (2008).

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