自然免疫
DNAに応答する

Innate Immunity
Responding to DNA

Editor's Choice

Sci. Signal., 11 March 2008
Vol. 1, Issue 10, p. ec88
[DOI: 10.1126/stke.110ec88]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 生体には、脂質、タンパク質、核酸によって活性化される経路などのように、感染に対する応答を開始する複数の機構が存在する。しかし、DNAウイルスが、Toll様受容体(TLR)が関与する経路と無関係に、自然免疫応答を始動させる機構は不明である。Muruveらは、アデノウイルス感染培養細胞が炎症性メディエータのインターロイキン1β(IL-1β)のプロセシングおよび放出を促進すること、この応答にはウイルス由来のDNA(陽イオン性リポソームによって導入される)を必要であるが、キャプシドは必要ではなく、TLRシグナル伝達とは独立であることを明らかにした。細菌のDNA、合成DNA、プラスミドDNA、哺乳類DNAのトランスフェクションもIL-1βの分泌を開始させたが、短い二本鎖オリゴヌクレオチドは開始させなかった。IL-1β放出を促進するには、最低でも約250塩基対が必要であった。IL-1βのプロセシングには、NALPタンパク質(Nod様細胞質受容体)、アダプタータンパク質ASC、およびカスパーゼ-1を含む多タンパク質複合体インフラマソームが関与する。NALP3あるいはASCを欠損するマウスに由来するマクロファージは、アデノウイルス感染に応答するIL-1βのプロセシングや分泌を促進することができなかった。しかし、陽イオン性リポソーム導入によってDNAが導入されると、NALP3は必要でなくなるが、ASCおよびカスパーゼ-1は必要であった。このことは、この機構によって導入されるDNAは、異なるセンサータンパク質を持つインフラマソーム複合体を用いる可能性があることを示唆する。K+流出がインフラマソームの活性化に関与することが知られており、K+流出を薬理学的に遮断すると、アデノウイルス感染またはDNAトランスフェクションによるIL-1βの放出が阻害された。NALP3、ASC、カスパーゼ-1のいずれかが欠損したマウスでは、アデノウイルス感染に対する自然免疫応答が低下していた。自然免疫のためのこの新たなDNAセンサー経路が同定されたことは、病原体感染に対する応答の理解や操作へとつながるだけでなく、インフラマソームの異常活性がやはり関与している可能性がある自己免疫疾患にも意味をもつ。

D. A. Muruve, V. Petrilli, A. K. Zaiss, L. R. White, S. A. Clark, P. J. Ross, R. J. Parks, J. Tschopp, The inflammasome recognizes cytosolic microbial and host DNA and triggers an innate immune response. Nature 452, 103-107 (2008). [PubMed]

N. R. Gough, Responding to DNA. Sci. Signal. 1, ec88 (2008).

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