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進化 
自宅では試さないで下さい

Evolution
Don’t Try This at Home

Editor's Choice

Sci. Signal., 22 April 2008
Vol. 1, Issue 16, p. ec137
[DOI: 10.1126/stke.116ec137]

L. Bryan Ray

Science, Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 進化につながる可能性のある遺伝的多様性の最も一般的な原因が一塩基変異であることは確かである。しかし、遺伝子重複のような頻度の低い事象も、遺伝子調節ネットワークのつなぎ換えを招く劇的な変化をもたらすので、重要である可能性がある。Isalanらは、ある遺伝子の調節プロモーター配列と別の遺伝子の翻訳領域とのつなぎ換えを可能にすると考えられる重複事象の影響を細菌で調べた。転写因子をコードする遺伝子においてこのような操作を約600例行い、細菌株の生存、増殖および進化可能性への影響をモニタリングした。これらの変化の95%以上が細菌の生存能力を阻害しないという事実によって、遺伝子調節ネットワークが著しく強固であることが確認された。菌株の16%のみが増殖に何らかの変化を示し、野生株よりも増殖が良好な細菌もあった。著者らは、実験室でその菌株を何代にもわたり選択圧下に置き、600例という比較的小さな(進化の用語で)新しいネットワークのサンプリングによってでさえも、10数例が適応度において明確な進化的優位性を有することを明らかにした。そのつなぎ換え事象には転写の新しい正のフィードバックループあるいは負のフィードバックループを生じさせるものもあったが、これらは実験用遺伝子から生産された緑色蛍光タンパク質(GPF)で標識されたタンパク質の量は変化させなかった。このことは、調節ネットワークそのものがこのような変化を補償できることを示唆しており、転写後の機構を転写制御の機構と比較して過小評価すべきでないことを強調している。BennettおよびHastyは重要な解説を添えて、自宅のコンピュータにおいてこのようなプロセッシングユニットのつなぎ換えを試みたいとは思わないだろうし(生物学的制御の機構および現代科学技術におけるシステムデザインの類似はそこまで及んでいる)、生物学的システムの複雑さによりランダムに生じた変化の存在下ではこれらが機能しなくなると主張する「インテリジェントデザイン」の提唱者は、逆にこれらの新しいデータを考慮する必要があることに言及している。

M. Isalan, C. Lemerle, K. Michalodimitrakis, C. Horn, P. Beltrao, E. Raineri, M. Garriga-Canut, L. Serrano, Evolvability and hierarchy in rewired bacterial gene networks. Nature 452, 840-845 (2008). [PubMed]
M. R. Bennett, J. Hasty, Genome rewired. Nature 452, 824-825 (2008). [PubMed]

L. B. Ray, Don’t Try This at Home. Sci. Signal. 1, ec137 (2008)

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