• ホーム
  • 受容体 成長ホルモン受容体のためのLyn

受容体 
成長ホルモン受容体のためのLyn

Receptors
Lyn for Growth Hormone Receptor

Editor's Choice

Sci. Signal., 10 June 2008
Vol. 1, Issue 23, p. ec211
[DOI: 10.1126/scisignal.123ec211]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 成長ホルモン(GH)はその受容体GHRを介してシグナルを伝え、増殖を促す。Jakファミリーの受容体結合キナーゼは、GHRをSTATとして知られる転写因子ファミリーのメンバーの活性化に共役させる役割を担うことがよく知られている。Rowlinsonらは、GHに結合しているGHRとアンタゴニストに結合しているGHRの細胞外部分の結晶構造を比較し、F-Gループと呼ばれる領域が異なる位置にあることに気付いた。Rowlinsonらは、F-Gループにさまざまな変異体を発現させた細胞を解析し、GHに応答した導入細胞の増殖は、野生型GHRを発現している細胞と比べて、部分的に減少するのみであることを見出した。F-G変異受容体を発現させた細胞において、Jak-STAT経路を介するシグナル伝達は変化しなかったが、ERKとして知られるマイトジェン活性化プロテインキナーゼのGHに応答した活性化は低下した。Srcファミリーキナーゼ(SFK)は、野生型受容体を発現している細胞においてはGHに応答してリン酸化されたが、F-G変異受容体を発現している細胞ではリン酸化されなかった。SFKのLynは、アゴニストの有無に関係なく、野生型GHRともF-G変異受容体とも免疫共沈降した。しかし、野生型受容体を発現している細胞でのみ、LynはGHに応答してリン酸化され、それにより活性化された。このように、Lynは導入された野生型または変異受容体と構成的に会合したが、このキナーゼをアゴニストに反応して活性化させたのは野生型受容体のみであった。ERKの活性化にJakシグナル伝達は必要なかった。しかし、野生型受容体を導入した細胞において、ホスホリパーゼCまたはSFKを薬理学的に阻害するとGHによるERK活性化が阻害されたことから、この活性化はLynを介して進行して、ホスホリパーゼC経路に向かうと考えられた。膜貫通領域の配列を変化させると予測される変異を有する受容体をモデル化し、このような受容体を導入した細胞においてSTATまたはERKの活性化を解析することによって、膜貫通領域の配列がどちらかの経路を介するシグナル伝達の効率に影響を及ぼす可能性が示唆された。これらの研究から、GH誘導性のLyn-ERKシグナル伝達とJak-STATシグナル伝達を脱共役させる可能性のある機構について知見が得られており、それらの知見は、1つの経路を特異的に変化させる治療薬の開発において臨床的意義を有する可能性がある。

S. W. Rowlinson, H. Yoshizato, J. L. Barclay, A. J. Brooks, S. N. Behncken, L. M. Kerr, K. Millard, K. Palethorpe, K. Nielsen, J. Clyde-Smith, J. F. Hancock, M. J. Waters, An agonist-induced conformational change in the growth hormone receptor determines the choice of signalling pathway. Nat. Cell Biol. 10, 740-747 (2008). [PubMed]

N. R. Gough, Lyn for Growth Hormone Receptor. Sci. Signal. 1, ec211 (2008).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る