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微生物学
尾の消失に対する有毒な反応

Microbiology
A Virulent Response to Losing Your Tail

Editor's Choice

Sci. Signal., 22 July 2008
Vol. 1, Issue 29, p. ec260
[DOI: 10.1126/scisignal.129ec260]

Elizabeth M. Adler

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : コレラ菌(Vibrio cholerae)(下痢性疾患コレラの原因となる)は、調節因子HapRを用いて、病原性遺伝子の転写抑制をもたらすシグナル分子を分泌し、検出する。このようにして、コレラ菌の病原性因子の発現は、細胞密度の増加に伴い低下する。Liuらは、抗生物質と共役させたトランスポゾンスクリーニングを用い、この選抜集団検知経路を通して病原性を制御している可能性があるシグナルを同定した。興味深いことに、コレラ菌のべん毛の生合成に関与する様々な遺伝子の変異は、HapR活性を低下させ、病原性因子の産生を増大させた。べん毛ロッドタンパク質をコードするflgDの欠失により、hapR転写レポーターの転写およびHapRにより活性化されるレポーターの転写が阻害されたが、HapRにより阻害されるレポーターの転写および病原性因子の産生は促進された。一部のべん毛遺伝子の活性化に関与するFliAをコードする遺伝子の恒常的活性化もまた、病原性因子の産生を促進した。FliA活性が、べん毛輸送装置を介して阻害因子FlgMを分泌するのに伴って増大することに注目し、著者らは、flgD変異株培養の上清中のFlgM濃度が、野生株培養の上清中の濃度と比較して高いことを確認した。さらに、flgD変異がhapR発現に与える影響は、FliAにより媒介された。コレラ菌は、腸管上皮細胞でコロニーを形成するために、粘膜層を横断しなければならない。そして、べん毛染色法および電子顕微鏡分析のいずれにおいても、野生型コレラ菌の80%以上が1%ムチン中を泳ぐ間にべん毛を失うことが明らかになっている。FlgM濃度は、ムチンを含む培養物の上清で高く、ムチンに曝露した菌でhapR発現が減少した。このように、著者らは、上皮細胞へ向かう途中で遭遇したシグナルにより、コレラ菌がHapRを介した病原性抑制を正確な時間と場所で廃棄することができるようになるのではないかと提唱している。

Z. Liu, T. Miyashiro, A. Tsou, A. Hsiao, M. Goulian, J. Zhu, Mucosal penetration primes Vibrio cholerae for host colonization by repressing quorum sensing. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 105, 9769-9774 (2008). [Abstract] [Full Text]

E. M. Adler, A Virulent Response to Losing Your Tail. Sci. Signal. 1, ec260 (2008).

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