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植物の再生「ルアー」によるガイダンス機構

Plant Reproduction
An Al-LURE-ing Guidance System

Editor's Choice

Sci. Signal., 24 March 2009
Vol. 2, Issue 63, p. ec104
[DOI: 10.1126/scisignal.263ec104]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 顕花植物において発芽した花粉粒子は、精細胞を卵細胞に運ぶために花の中で一方向に成長する管を形成する。この旅の最終段階では、花粉管は卵門として知られる開口部を通って胚珠に入り、卵細胞の隣にある助細胞の1つに向かって伸長し、これに入ることになる。助細胞は、繊形装置と呼ばれる特殊な細胞壁を通して拡散性のシグナルを分泌し、花粉管を誘導するものと考えられているが、数種の植物ではこのような化学誘引物質を特定することは困難であった。奥田らは、Torenia fournieri(はなうりくさ または なつすみれ)の助細胞から相補的DNAライブラリーを作成し、1群のタンパク質をコードする16の転写産物を特定してT. fournieriシステインリッチ・ポリペプチド(TfCRP)と名付けた。TfCRP1およびTfCRP3の免疫蛍光は、卵門に最も近い繊形装置の表面にある助細胞でのみ検出された。T. fournieriの花粉管はTfCRP1またはTfCRP3を放出するビーズに向かって伸長したが、TfCRP2放出ビーズには伸長しなかった。類縁種であるLindernia micranthaからの花粉管は、TfCRP1およびTfCRP3放出ビーズに向かって伸長しなかったことから、これらの化学誘引物質は種特異的であることが示唆される。著者らはTfCRP1とTfCRP3をそれぞれRURE1とRURE2と改名した。RURE1またはRURE2に対するモルフォリノアンチセンスオリゴが注入されたT. fournieriの胚珠は、対照のモルフォリノオリゴが注入されたものより、花粉管の誘引が少なかった。したがって、これらのRUREは、T. fournieriにおいて花粉管をその最終目的地までガイドする、1セットの化学誘引物質である。

S. Okuda, H. Tsutsui, K. Shiina, S. Sprunck, H. Takeuchi, R. Yui, R. D. Kasahara, Y. Hamamura, A. Mizukami, D. Susaki, N. Kawano, T. Sakakibara, S. Namiki, K. Itoh, K. Otsuka, M. Matsuzaki, H. Nozaki, T. Kuroiwa, A. Nakano, M. M. Kanaoka, T. Dresselhaus, N. Sasaki, T. Higashiyama, Defensin-like polypeptide LUREs are pollen tube attractants secreted from synergid cells. Nature 458, 357-361 (2009). [PubMed]

W. Wong, An Al-LURE-ing Guidance System. Sci. Signal. 2, ec104 (2009).

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