鼻の中のコード

A Code in the Nose

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 227, pp. pe15, 6 April 2004
[DOI: 10.1126/stke.2272004pe15]

Stuart Firestein*

Department of Biological Sciences, Columbia University, New York, NY 10027, USA.
*Contact information. E-mail: sjf24@columbia.edu

要約 : 哺乳類の鼻はほぼ間違いなく地球上で最も優れた化学物質の感知器であり、何千もの化合物を感知し識別することができる。この能力には、Gタンパク質(ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質)共役受容体(GPCR)の大きなファミリーによる最初の段階が関わっている。においを感知し識別する能力はコードの組み合わせに依存しており、どの受容体も多くのにおいを認識し、どのにおい物質も複数の受容体のリガンドとして働く可能性がある。最近の研究によりこの嗅覚コードの解読が一層複雑なものであることが示されていることから、におい物質の混合物の総合効果は個々のにおいの総和と単純に同じではないことが示唆される。むしろ、個々のにおい物質は各GPCRレベルでアンタゴニストとして作用することができ、それにより、構造が似ている化合物によって活性化されたシグナル伝達経路の一部が抑制される。このように、においのコードは、活性化された受容体のパターンの関数であるだけではなく、拮抗作用によってさらに強められる可能性がある。においの信号化は今日では薬理学の分野となっているようである。

S. Firestein, A Code in the Nose. Sci. STKE 2004, pe15 (2004).

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