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甘味センサー、驚くべきパートナー

Sweet Sensor, Surprising Partners

Perspectives

Sci. STKE, 13 February 2007 Vol. 2007, Issue 373, p. pe7
[DOI: 10.1126/stke.3732007pe7]

Jin-Gui Chen

Department of Botany, University of British Columbia, Vancouver, BC V6T 1Z4, Canada.
Corresponding author. E-mail: jingui@interchange.ubc.ca

要約 : ヘキソキナーゼ1(HXK1)は、植物において進化的に保存されたグルコースセンサーである。しかし、HXK1が光合成に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現を制御する分子機構は謎である。最近の研究から、これまで知られていなかったHXK1核内複合体が特定の光合成遺伝子の発現を制御することが示された。この過程はグルコース代謝と無関係だが、意外な2つのパートナーVHA-B1およびRPT5Bを必要とする。VHA-B1とRPT5Bは、グルコース依存性の遺伝子発現調節とは関係ないと考えられる過程において、よく確立され保存された機能を有し、いずれも主として核に存在するタンパク質ではない。生化学的、遺伝子的および分子的証拠から、VHA-B1とRPT5Bは核内でHXK1と直接相互作用し、グルコースによる転写抑制を受ける光合成遺伝子であるクロロフィルa/b結合タンパク質2(chlorophyll a/b binding protein 2)のシス作動性エレメントにこのHXK1複合体が結合することが示されている。HXK1核内複合体が同定されたことから、予期しなかったグルコースシグナル伝達機構が明らかになり、代謝酵素は核内で遺伝子発現を直接制御することによってシグナル伝達において独特の役割を果たしうるという考えがいっそう強くなる。

J.-G. Chen, Sweet Sensor, Surprising Partners. Sci. STKE 2007, pe7 (2007).

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