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上皮の創傷治癒におけるRac1の二重の役割

Double Duty for Rac1 in Epidermal Wound Healing

Perspectives

Sci. STKE, 19 June 2007 Vol. 2007, Issue 391, p. pe33
[DOI:10.1126/stke.3912007pe33]

C. Michael DiPersio*

Center for Cell Biology and Cancer Research, Albany Medical College, MC-165, 47 New Scotland Avenue, Albany, NY 12208, USA.
*Contact information. E-mail: dipersm@mail.amc.edu

要約 : 皮膚創傷治癒において、創傷を効率的に再上皮化し、皮膚のバリア機能を回復するためには、上皮ケラチノサイトの増殖および移動の促進が必要不可欠である。数多くの細胞培養研究によって、創傷の微小環境に由来する細胞外信号に応答して増殖および移動を制御する細胞内シグナル伝達タンパク質が同定されたが、創傷治癒におけるそれらのタンパク質の重要性を確認するには適切なin vivoモデルが必要である。Rhoファミリーのグアノシントリホスファターゼ(GTPase)であるRac1は、創傷に存在する増殖因子、サイトカイン、接着タンパク質に対する細胞応答のエフェクターであり、創傷治癒の重要な調節因子であると長年推測されてきた。今回、2つの異なる遺伝的モデルにおいて、創傷治癒におけるRac1のきわめて重要な役割が確認され、さらに、創傷の再上皮化におけるケラチノサイトの移動および増殖の促進にRac1が二重の役割を果たすことが明らかになった。これにより、既知のRac1経路のうちどれがin vivoでの創傷修復に非常に重要かを決定し、それらの経路を創傷環境からの信号に対する細胞応答を媒介する特定のインテグリン受容体または増殖因子受容体と結びつける舞台が整った。Rac1を上皮幹細胞集団の維持と関連付ける研究と合わせて、これらの発見はRac1が創傷再上皮化を制御するさまざまな側面が行われている別個の上皮コンパートメントを同定する基礎を築くものである。

C. M. DiPersio, Double Duty for Rac1 in Epidermal Wound Healing. Sci. STKE 2007, pe33 (2007).

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