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神経細胞SNAREにおける電位依存性カリウムチャネルの驚くべき捕獲

The Surprising Catch of a Voltage-Gated Potassium Channel in a Neuronal SNARE

Perspectives

Sci. STKE, 3 July 2007 Vol. 2007, Issue 393, p. pe37
[DOI: 10.1126/stke.3932007pe37]

Durga P. Mohapatra, Helene Vacher, and James S. Trimmer*

Department of Pharmacology, School of Medicine, University of California, Davis, CA 95616, USA.
*Corresponding author. Department of Pharmacology, School of Medicine, University of California, Davis, CA 95616, USA. Telephone, 530-754-6075; fax, 530-754-6079; e-mail, jtrimmer@ucdavis.edu

要約 : イオンチャネルのうちで、電位依存性カルシウムチャネルは、孔を通るイオンの流れと無関係にシグナル伝達を仲介する能力をもつ点で独特であると考えられてきた。Kv2.1と呼ばれる電位依存性カリウムチャネルは、カルシウムチャネルのイオン非依存性の1つの機能と極めて類似する役割を果たし、小胞放出装置のt-SNARE〔soluble NSF (N-ethylmaleimide-sensitive factor) attachment protein receptor可溶性N-エチルマレイミド感受性因子結合タンパク質受容体〕との直接的な相互作用を通して、調節性エキソサイトーシスを促進することが明らかになった。Kv2.1の過剰発現は、神経内分泌様細胞株PC12からの脱分極誘導性分泌を促進し、非伝導性のKv2.1変異体も同じ働きを示すことができる。Kv2.1は、小胞のドッキングおよび融合装置における細胞膜t-SNAREであるシンタキシン1Aと直接相互作用する。Kv2.1からシンタキシン1A結合領域を欠失させると、小胞放出を促進する能力が消失する。このことから、Kv2.1が、おそらくは膜の脱分極によって誘導される電位依存性のコンホメーション変化を相互作用するt-SNAREに伝達してエキソサイトーシスに影響を与える機構が支持される。Kv2.1は、中枢神経系、心筋および平滑筋、膵臓β細胞における電気的なイベントの主要な仲介因子であるが、いまや分泌の物理的な仲介因子であることも認識されなければならない。シンタキシン1A結合領域内の数多くの部位でKv2.1がリン酸化されることから、分泌におけるKv2.1の役割は多様なシグナル伝達イベントによって動的に調節される可能性が示唆される。

D. P. Mohapatra, H. Vacher, J. S. Trimmer, The Surprising Catch of a Voltage-Gated Potassium Channel in a Neuronal SNARE. Sci. STKE 2007, pe37 (2007).

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