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リンパ球のNFAT:すべてのイベントのための因子?

NFAT in Lymphocytes: A Factor for All Events?

Perspectives

Sci. STKE, 7 August 2007 Vol. 2007, Issue 398, p. pe42
[DOI: 10.1126/stke.3982007pe42]

Edgar Serfling*, Friederike Berberich-Siebelt, and Andris Avots

Department of Molecular Pathology, University of Wurzburg, D-97080 Wurzburg, Germany.
*Corresponding author. E-mail, serfling.e@mail.uni-wuerzburg.de

要約 : 微生物による感染に対する典型的な免疫応答の結果、2、3の抗原特異的なナイーブリンパ球が急速に増殖して多くのエフェクターリンパ球へと分化する。抗原に曝露されると、これらのエフェクターT細胞やB細胞は、大量のリンフォカイン(リンパ球が産生するサイトカイン)や可溶性の抗体をそれぞれ急速に分泌する。これらのエフェクター細胞の大多数は抗原消失後に死滅するが、一部の細胞は記憶細胞として生き残り、同一微生物による2度目の感染に対して生涯にわたって宿主を保護する。記憶細胞はナイーブリンパ球よりも早く応答すると長年考えられてきた。しかし、記憶細胞を制御する分子機構はほとんどわかっていない。今日の研究から、転写因子nuclear factor of activated T cells c1 およびc2(NFATc1およびNFATc2)の存在量が、ナイーブT細胞と比較して記憶(およびエフェクター)T細胞で非常に多いことが示された。このことから、NFATが記憶T細胞において重要な機能をもつことが示唆されるが、どの転写因子がナイーブT細胞におけるインターロイキン-2(IL-2)合成を制御するのか、どの機構により記憶T細胞にNFATが多く存在するようになるのか、という疑問はまだ解決されていない。

E. Serfling, F. Berberich-Siebelt, A. Avots, NFAT in Lymphocytes: A Factor for All Events? Sci. STKE 2007, pe42 (2007).

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