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KremenによるWnt-β-カテニンシグナル伝達の状況依存的な活性化や阻害

Context-Dependent Activation or Inhibition of Wnt-β-Catenin Signaling by Kremen

Perspectives

Sci. Signal., 26 February 2008
Vol. 1, Issue 8, p. pe10
[DOI: 10.1126/stke.18pe10]

Christopher S. Cselenyi and Ethan Lee*

Department of Cell and Developmental Biology, Vanderbilt University Medical Center, 465 21st Avenue South, U-4225 MRBIII, Nashville, TN 37232-8240, USA.
*Corresponding author. E-mail: ethan.lee@vanderbilt.edu

要約 : Wnt-beta;-カテニンシグナル伝達は、後生動物の発生における重要なイベントを制御し、その調節不全は癌や発育障害を引き起こす。リガンドのWntが、膜貫通型共受容体であるFrizzled(Fz)と低密度リポタンパク質(LDL)受容体関連タンパク質(LRP)5またはLRP6に結合することで、核に移行して遺伝子発現を調節する転写コアクチベーターであるβ-カテニンの分解が阻害される。分泌タンパク質Dickkopf1(Dkk1)は、LRP5やLRP6に結合し、それらとWntやFz の相互作用を阻害することにより、Wntシグナル伝達を阻害する。Kremen 1および2(Krm1および2、まとめてKrmsと呼ぶ)は、膜1回貫通型Dkk1受容体であり、LRP5やLRP6のエンドサイトーシスを促進することによって、Dkk1と相乗的にWntシグナル伝達を阻害する。今日の研究では、Dkk1非存在下では、Krmsは細胞膜にLRP5やLRP6を維持することによって、Wntシグナル伝達を増強することが示唆されている。Dkk1が存在するか存在しないかにより、KrmsがWnt-beta;-カテニンシグナル伝達を活性化するか阻害するかがそれぞれ決まると提唱されている。そこで、提唱されているKrmsの状況依存的な正と負の役割は、Dkk1の緩い勾配に応答して、二相性のWntシグナル伝達を促進する可能性がある。その結果、発生期の細胞間に正確で頑強な境界が形成されると推測される。Wnt-beta;-カテニンシグナル伝達におけるKrmsの状況依存的な役割の発見は、Wntシグナル伝達の機構に対する洞察を提供するものであり、発生において重要な意義がある。

C. S. Cselenyi, E. Lee, Context-Dependent Activation or Inhibition of Wnt-β-Catenin Signaling by Kremen. Sci. Signal. 1, pe10 (2008).

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