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抗精神病薬とβ遮断薬の開発におけるアレスチン時代の到来

Arrestin Times for Developing Antipsychotics and β-Blockers

Perspectives

Sci. Signal., 14 April 2009
Vol. 2, Issue 66, p. pe22
[DOI: 10.1126/scisignal.266pe22]

Miles D. Houslay*

Neuroscience and Molecular Pharmacology, Wolfson and Davidson Buildings, Faculty of Biomedical and Life Sciences, University of Glasgow, Glasgow G12 8QQ, Scotland, UK.
* Corresponding author. E-mail, M.Houslay@bio.gla.ac.uk

要約 : ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)共役受容体(GPCR)は、ヒトゲノムによってコードされ、構造上の関連がみられる最大規模のタンパク質群である。GPCRは、シグナル作動因子およびアロステリック制御因子として、特異的なヘテロ三量体Gタンパク質だけでなく、サイトゾル足場タンパク質のβアレスチン1と2も動的にリクルートする。βアレスチン1と2は、もともとはGPCRシグナル伝達の負の調節因子としてのみ働くものと考えられていた。現在、利用可能な薬物治療の約半数はGPCRの機能を標的としており、通常はオルトステリックなリガンド結合部位を標的としているが、βアレスチンそのものが治療標的になる可能性を示唆する証拠がある。実際に、さまざまな抗精神病薬のこれまで発見されていなかった作用として、ドーパミンD2受容体のβアレスチン2との会合能を阻害し、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3を活性化する作用がある。この作用が統合失調症の治療法開発の標的となるかもしれない。また、カルベジロールのような心不全の治療に使用される特定のβアンタゴニスト(遮断薬)は、βアレスチンを介して細胞外シグナル調節キナーゼの活性化を促進する作用も併せもっている。βアレスチンの構造が、異なるタイプのGPCRやGPCRの立体構造を検出し、シグナル伝達タンパク質の別々の集団を利用して機能的に異なる方法で応答することを可能にしているようである。このように、治療介入の新たな可能性が生まれる。

M. D. Houslay, Arrestin Times for Developing Antipsychotics and β-Blockers. Sci. Signal. 2, pe22 (2009).

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