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LKB1による腫瘍抑制:SIKが転移を予防する

Tumor Suppression by LKB1: SIK-ness Prevents Metastasis

Perspectives

Sci. Signal., 1 September 2009
Vol. 2, Issue 86, p. pe55
[DOI: 10.1126/scisignal.286pe55]

Reuben J. Shaw*

Molecular and Cell Biology Laboratory, The Salk Institute for Biological Studies, La Jolla, CA 92037, USA.
* Corresponding author. E-mail, shaw@salk.edu

要約 : LKB1セリン-トレオニンキナーゼは多数のヒト孤発性非小細胞肺がん(NSCLC)および子宮頸がんで不活性化されているがん抑制因子である。LKB1の遺伝的欠損はマウスのさまざまな組織において腫瘍形成を誘発し、LKB1の欠損はNSCLCモデルマウスで転移を増加させる。LKB1は、AMPK[アデノシン一リン酸(AMP)活性化タンパク質キナーゼ]と関連する14種のキナーゼからなるファミリーを直接的に活性化して、細胞の代謝、増殖、極性を制御する。しかし、これらのうちのいずれががん抑制因子としての機能にとって重要であるのかはわかっていない。今回、LKB1依存性キナーゼSIK1(塩誘導性キナーゼ1)が培養中のアノイキス(anoikis:細胞接着剥離によって誘発されるアポトーシス)および形質転換の主要調節因子として特定され、SIK1によるがん抑制因子p53の調節が移植腫瘍細胞の転移を制御することが確認された。また、SIK1発現の低下は2つの大規模ヒト乳癌データセットにおいて予後不良と相関している。以上の知見から、SIK1が、腫瘍形成において標的となり得るp53依存性アノイキスの主要上流調節因子であることが示唆される。

R. J. Shaw, Tumor Suppression by LKB1: SIK-ness Prevents Metastasis. Sci. Signal. 2, pe55 (2009).

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