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FGF受容体自己リン酸化の正確な順序は速度論により決定され、発がん性変異により乱される

The Precise Sequence of FGF Receptor Autophosphorylation Is Kinetically Driven and Is Disrupted by Oncogenic Mutations

Research Article

Sci. Signal., 17 February 2009
Vol. 2, Issue 58, p. ra6
[DOI: 10.1126/scisignal.2000021]

Erin D. Lew*, Cristina M. Furdui , Karen S. Anderson, and Joseph Schlessinger

Department of Pharmacology, Yale University School of Medicine, 333 Cedar Street, New Haven, CT 06520, USA.
* Present address: Molecular Neurobiology Laboratory, The Salk Institute, 10010 N. Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USA.
Present address: Department of Internal Medicine, Section on Molecular Medicine, Wake Forest University School of Medicine, Winston-Salem, NC 27157, USA.
To whom correspondence should be addressed. E-mail: joseph.schlessinger@yale.edu

要約 : 繊維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)のチロシンキナーゼドメインの自己リン酸化は、連続的で正確に順序付けられた3段階の自己リン酸化反応によって媒介される。第1段階の活性化ループチロシンの自己リン酸化により、キナーゼ活性が50〜100倍に刺激され、続いて第2段階では、シグナル伝達分子の結合部位であるさらに3つのチロシン残基がリン酸化される。最後に、第3段階では、2つめの活性化ループチロシンがリン酸化され、FGFR1触媒活性がさらに10倍活性化される。この報告で、我々は、FGFR1キナーゼドメインにおける5つのチロシンの連続的な自己リン酸化が速度論的に制御されており、チロシン周囲のアミノ酸配列およびキナーゼ構造内のチロシンの位置によって媒介されること、さらに、ホスホリル基転移が律速段階であることを示す。また、グリア芽細胞腫に由来するFGFR1のキナーゼドメインにおける発がん性点変異により、自己リン酸化の厳密な順序が乱される。FGFRの発がん性変異および他の活性化型変異により、チロシン自己リン酸化の段階的な活性化が乱されることによって、活性化受容体によるシグナル伝達分子の異常な活性化や集合が起こる可能性を我々は提唱する。

E. D. Lew, C. M. Furdui, K. S. Anderson, J. Schlessinger, The Precise Sequence of FGF Receptor Autophosphorylation Is Kinetically Driven and Is Disrupted by Oncogenic Mutations. Sci. Signal. 2, ra6 (2009).

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