単一のcGMP分子で活性化される非定型CNGチャネルが精子走化性を制御する

Sci. Signal., 27 October 2009
Vol. 2, Issue 94, p. ra68
[DOI: 10.1126/scisignal.2000516]

Wolfgang Bönigk^1,2*, Astrid Loogen^1*, Reinhard Seifert^1*, Nachiket Kashikar^1,3, Clementine Klemm⁴, Eberhard Krause⁴, Volker Hagen⁴, Elisabeth Kremmer⁵, Timo Strunker^1,3, and U. Benjamin Kaupp^1,3†

¹ Center of Advanced European Studies and Research, Abteilung Molekulare Neurosensorik, Ludwig-Erhard-Allee 2, 53175 Bonn, Germany.
² Institut für Strukturbiologie und Biophysik, ISB-1, Forschungszentrum Jülich, 52425 Jülich, Germany.
³ Marine Biological Laboratory, Woods Hole, MA 02543, USA.
⁴ Leibniz-Institut für Molekulare Pharmakologie, Robert-Rössle-Straße 10, 13125 Berlin, Germany.
⁵ Helmholtz-Zentrum München, Institut für Molekulare Immunologie, Marchioninistraße 52, 81377 Munich, Germany.
* These authors contributed equally to this work.
† To whom correspondence should be addressed. E-mail: u.b.kaupp@caesar.de

要約 : ウニ（Arbacia punctulata）の精子は、卵から放出される1分子の化学誘引物質に反応することができる。このように極めて高い感度の基礎にある機構は不明である。化学誘引物質に対するA. punctulata精子の反応において重要なシグナル伝達イベントには、細胞内メッセンジャーであるグアノシン3',5'-一リン酸（cGMP）の速やかな生成と、カリウム選択的環状ヌクレオチド依存性（CNGK）チャネルの開口の結果として生じる膜の過分極が含まれる。今回われわれは、ケージ化cGMPの光分解で較正することにより、1分子の化学誘引物質に対して約45のcGMP分子が産生されることを明らかにした。CNGKチャネルはcGMPへの感度が著しく高く、また他の物質との協調なしに活性化されることから、そのような僅かなcGMPの変化にも反応できる。電圧活性化Ca_vおよびNa_vチャネルと同様に、CNGKポリペプチドは4つの相同な反復配列から構成される。変異によってこの4つの各環状ヌクレオチド結合部位の機能を１つずつ失わせることで、反復配列3への単一cGMP分子の結合が、CNGKチャネルの活性化に必要十分であることが明らかになった。つまり、CNGKはこのようにしてナノモル範囲で活性化メカニズムを発達させており、この機構はいくつものリガンドの協調的結合を必要とするミクロモルの範囲で働く他のCNGチャネルの活性化とは異なるものである。