T細胞の発達および活性化におけるVav1のヌクレオチド交換活性の機能

Sci. Signal., 15 December 2009
Vol. 2, Issue 101, p. ra83
[DOI: 10.1126/scisignal.2000420]

Alexander Saveliev¹, Lesley Vanes¹, Olga Ksionda¹, Jonathan Rapley^1,2, Stephen J. Smerdon², Katrin Rittinger², and Victor L. J. Tybulewicz^1*

¹ Division of Immune Cell Biology, MRC National Institute for Medical Research, London NW7 1AA, UK.
² Division of Molecular Structure, MRC National Institute for Medical Research, London NW7 1AA, UK.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: vtybule@nimr.mrc.ac.uk

要約 : グアニンヌクレオチド交換因子（GEF）Vav1は、T細胞抗原受容体（TCR）シグナルの伝達に不可欠であり、それゆえにT細胞の発達および活性化に重要な役割を果たす。Vav1のGEF活性は、その機能にとって重要であると推測されてきたが、このことが直接実証されたことはない。今回われわれは、酵素的に不活性だが正常に折りたたまれたVav1タンパク質を発現するマウスを作製した。このマウスの解析によって、Vav1のGEF活性は、胸腺細胞の選択ならびにT細胞の最適活性化に必要であり、その過程はRac1、Akt、インテグリンへのシグナル伝達を含むことが示された。対照的に、Vav1のGEF活性は、TCRが誘導するカルシウム流入、細胞外シグナル制御キナーゼおよびプロテインキナーゼD1の活性化、および細胞の極性化には必要ではなかった。このように、T細胞において、Vav1のGEF活性は、その機能の一部には欠くことができないが、機能の全てに必要であるわけではない。