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イノシトール1,4,5-トリスリン酸受容体(IP3R)とその調節因子:時には良く時には悪いチームワーク
The Inositol 1,4,5-Trisphosphate Receptor (IP3R) and Its Regulators: Sometimes Good and Sometimes Bad Teamwork
Sci. STKE, 28 November 2006 Vol. 2006, Issue 363, p. re15
[DOI: 10.1126/stke.3632006re15]
Chi-un Choe1,2 and Barbara E. Ehrlich1*
1Departments of Pharmacology and Cellular and Molecular Physiology, Yale University, New Haven, CT 06520, USA.2Institute for Neural Signal Transduction, Zentrum fur Molekulare Neurobiologie Hamburg, University of Hamburg, 20251 Hamburg, Germany. *Corresponding author. E-mail, barbara.ehrlich@yale.edu
要約 : 非興奮性細胞および興奮性細胞のいずれにおいても、イノシトール1,4,5-トリスリン酸受容体(IP3R)は、細胞内カルシウム(Ca2+)シグナル伝達の開始を担う主要なサイトゾルの標的である。この機能を実行するにあたり、IP3Rは、修飾サブユニットおよび調節タンパク質との相互作用に依存している。これらのタンパク質には、クロモグラニンAおよびB、ERp44などの小胞体(ER)内腔に存在するタンパク質、ならびに神経細胞のCa2+センサー1、ハンチンチン、シトクロムc、イノシトール1,4,5-トリスリン酸と共に放出されるIP3R結合タンパク質、Homer、および4.1Nなどのサイトゾルタンパク質が含まれる。これらの調節性タンパク質とIP3Rが特異的に相互作用するが示され、生理的な細胞調節には、結合相手によるIP3Rの制御された調節が必要であることが明らかになった。これらの調節因子とIP3Rが機能的に共役することにより、アポトーシス、細胞内pH、神経細胞Ca2+シグナル伝達の開始および調節、エキソサイトーシス、および遺伝子発現を制御することができる。IP3Rの調節と病態生理の関連性は、変異や過剰発現により、これらのタンパク質の機能的相互作用が亢進または消失する場合に明らかになる。さらにIP3Rが調節不全となることにより、Ca2+シグナル伝達、シグナルの開始、Ca2+シグナルの強度および頻度、Ca2+上昇の持続に病理学的変化が生じる。この調節不全の結果には、異常な増殖およびアポトーシスが含まれる。細胞が生存し、機能するには、Ca2+シグナル伝達の複雑な調節が必要であり、この困難な仕事は、IP3Rが協力し多くの結合相手と適切に作用する時にだけ何とか実行することができる。
C.-u. Choe, B. E. Ehrlich, The Inositol 1,4,5-Trisphosphate Receptor (IP3R) and Its Regulators: Sometimes Good and Sometimes Bad Teamwork. Sci. STKE 2006, re15 (2006).