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IL-17シグナル伝達の調節における細胞質アダプタータンパク質Act1の役割

A Role for the Cytoplasmic Adaptor Protein Act1 in Mediating IL-17 Signaling

Reviews

Sci. STKE, 7 August 2007 Vol. 2007, Issue 398, p. re4
[DOI: 10.1126/stke.3982007re4]

Anders Linden*

Department of Internal Medicine/Respiratory Medicine and Allergology, Institute of Medicine, Sahlgrenska Academy at Goteborg University, Sweden.
*E-mail: anders.linden@gu.se

要約 : 要約:インターロイキン(IL)‐17(IL-17Aとしても知られる)は宿主防御と炎症性疾患において重要な役割を果たすが、このような作用の一端は、特定のTリンパ球サブセットを活性化して好中球とマクロファージの動員を引き起こすことによって生じる。IL-17は直接的な作用も間接的な作用も示す。間接的な作用は、罹患組織に常在する細胞からのIL-6を含むさまざまなケモカインや増殖因子の産生を促進することによって生じる。結果として、IL-17は細胞外の細菌に対する自然免疫応答を調整している。このことは、IL-17が適応免疫に重要な役割を担うと従来考えられている数種類のT細胞によって産生されるので興味深い。いくつかの研究によって、IL-17を産生する特異的なCD4陽性Tヘルパー(Th)細胞サブセット(Th17細胞)の機能や重要性が解明されているが、IL-17受容体(IL-17R)の機能やその下流シグナル伝達経路に関するわれわれの理解は依然として不十分である。このReviewでは、IL-17Rの刺激を下流のシグナル伝達経路につなげるためには細胞質アダプタータンパク質Act1[核因子-κB(NF-κB)活性化因子1]が不可欠であること、したがってAct1は局所の炎症応答に関与する可能性があることを示唆するいくつかの研究について論じる。Act1は、NF-κBの活性化と、それに続く好中球およびマクロファージ走化性因子であるIL-6やケモカインの産生を調節する。これらの知見によって、細菌に対する宿主防御の理解が深まり、慢性炎症性疾患の調節におけるAct1の役割が示唆されている。Act1とIL-17シグナル伝達に関する今後の研究によって、慢性炎症性疾患にみられる異常な自然免疫応答の背後にあるメカニズムが特定され、その解明が進むことが期待される。

A. Linden, A Role for the Cytoplasmic Adaptor Protein Act1 in Mediating IL-17 Signaling. Sci. STKE 2007, re4 (2007).

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