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アスパラギン脱アミノ化による時間調節

Chronoregulation by Asparagine Deamidation

Reviews

Sci. STKE, 23 October 2007 Vol. 2007, Issue 409, p. re7
[DOI: 10.1126/stke.4092007re7]

Steven J. Weintraub1* and Benjamin E. Deverman2

1Division of Urology, Department of Cell Biology and Physiology, The Siteman Cancer Center, Washington University School of Medicine, 660 South Euclid Avenue, Campus Box 8242, St. Louis, MO 63110, USA.
2Division of Biology, California Institute of Technology, 1200 East California Boulevard, Pasadena, CA 91125, USA.
*Corresponding author. E-mail: weintraub@wustl.edu

要約 : あらゆるタンパク質中のあらゆるアスパラギンは、周辺のタンパク構造や細胞環境によって決定される速度で非酵素的に脱アミノ化されてアスパラギン酸またはイソアスパラギン酸になる。生理的条件下では、タンパク中の個々のアスパラギンの脱アミノ化半減期は1日未満から数百年にわたるとされている。200種類以上のタンパク質に意味のある脱アミノ化が生じることがわかっており、さらに数百のタンパクが、生物学的影響を及ぼし得る速度で脱アミノ化されることがモデル化によって予測されている。脱アミノ化はアスパラギンをアスパラギン酸またはイソアスパラギン酸に変換するので、タンパク質に負電荷を導入し、結果的に残基の異性化が生じる。従って、脱アミノ化はタンパク質機能を変化させる可能性がある。さらには、脱アミノ化により一部のタンパク質が分解されやすくなると考えられている。アスパラギンの脱アミノ化がin vivoで認められるほとんどの場合で、脱アミノ化は病態に関与している。このため、脱アミノ化は主にタンパク質傷害様式の一つと見なされている。しかし、このように不安定なアスパラギンが広く存在し、進化的に保たれていることは、これらのアスパラギン残基が有益な役割を果たす可能性を示唆する。注目すべきことに、隣接する単一のアミノ酸が変わっただけでもアスパラギンの脱アミノ化速度に顕著な影響を及ぼし得る。このため、どのアスパラギンの脱アミノ化の潜在的速度も遺伝的にプログラム可能である。このような特性に加え、脱アミノ速度が広範な時間幅でプログラム可能であることから、アスパラギンはタンパク質の機能および安定性を調節する分子タイマーとして作用し得る。

S. J. Weintraub, B. E. Deverman, Chronoregulation by Asparagine Deamidation. Sci. STKE 2007, re7 (2007).

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