エタノールの分子標的

Ethanol’s Molecular Targets

Reviews

Sci. Signal., 15 July 2008
Vol. 1, Issue 28, p. re7
[DOI: 10.1126/scisignal.128re7]

R. Adron Harris1*, James R. Trudell2, and S. John Mihic1

1Section of Neurobiology and Waggoner Center for Alcohol and Addiction Research, Institutes for Neuroscience and Cell & Molecular Biology, University of Texas, Austin, TX 78712, USA.
2Department of Anesthesia, Stanford University School of Medicine, Stanford, CA 94305, USA.
*Corresponding author. E-mail, harris@mail.utexas.edu

要約 : エタノールは身体において多様な行動学的および生理学的効果をもたらすが、正確にどのように作用してこのような効果をもたらすのかはまだよくわかっていない。エタノールは細胞の膜において脂質を乱すことによって非特異的に作用すると長く信じられていたが、その作用機序に関する最新理論の中核をなすのはタンパク質である。エタノールは神経伝達物質放出、酵素機能やイオンチャネルの動態などの様々な生化学的過程に影響を及ぼすが、エタノール分子がこれら種々の作用をもたらす際に結合する特異的な分子部位は理解され始めたに過ぎない。これまでに性質が調べられたエタノールのほとんどの作用に関して、その機能が研究されているタンパク質が実際にエタノールに結合するのか、あるいはアルコールが代わりに別のタンパク質に結合して、そのタンパク質の機能に間接的に影響を及ぼしているのかについては不明である。この総説では、アルコール結合部位を特定する場合に考慮すべき基準について記述し、明確なエタノール結合部位について十分な分子レベルの証拠が存在するいくつかのタンパク質に脚光を当てる。

R. A. Harris, J. R. Trudell, S. J. Mihic, Ethanol’s Molecular Targets. Sci. Signal. 1, re7 (2008).

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