本製品は、培養細胞などの生物材料におけるマイコプラズマを検出するためのキットです。
背景
マイコプラズマは微小な原核生物であり、細胞培養における一般的なコンタミネーション源として知られています。マイコプラズマに汚染された細胞は、代謝や増殖の抑制を受け、タンパク質および遺伝子発現に変化が生じます。一般的に、マイコプラズマおよびアコレプラズマの20種以上が細胞培養での主要な汚染源とされており、その中でもM. arginine、M. fermentans、M. hyorhinis、M. orale、A. laidlawiiの5種が、5%〜35%以上を占めています。
マイコプラズマの汚染経路としては、培地添加剤、作業環境、作業者、すでに汚染された細胞株からの交差汚染などが挙げられます。
e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット(ver. 2.0)は、マイコプラズマの16S rRNA遺伝子領域を標的とした特異的プライマーおよびプローブセットで構成されています。本商品は10 CFU/ml以上のマイコプラズマを検出する高感度なリアルタイムPCRキットであり、リアルタイムPCRの実行を検証するための内在性コントロール(インターナルコントロール)およびポジティブコントロールが含まれています。
特長
高感度・高特異性
- 特異的プライマーとプローブにより、マイコプラズマを検出
- 検出感度は10 CFU/mL
迅速な検出
内在性コントロール(IPC)の搭載
構成内容
- 2X qPCR Mix : 280 µl x 2 vials
- Detection solution : 140 µl x 2 vials
- Positive control (External PC) : 25 µl x 3 vials
- DNase/RNase free water (NC) : 1 ml x 1 vial
ワークフロー
プロトコール
- 細胞からゲノムDNA抽出を抽出します。 iNtRON Biotechnology社では、G-spin™ Total DNA Extraction Kit(品番:17045)の使用を推奨しております。
- Real-time PCRチュ-ブにDetection Mixを調製します。
構成品 サンプル ポジティブ
コントロ-ルネガティブ
コントロ-ル2X qPCR Mix 10 µl 10 µl 10 µl Detection solution 5 µl 5 µl 5 µl Sample 5 µl - - Positive control - 5µl - DNase/RNase Free water - - 5µl (総量) 20µl 20µl 20µl - 遠心後、リアルタイムPCRを行います。
反応条件
温度 時間 サイクル数 37℃ 2 min 1 94℃ 2 sec 1 94℃ 5 sec 5 60℃ 10 sec 94℃ 5 sec 45 60℃*1 10 sec
ターゲット チャネル設定 マイコプラズマ FAM 内在性コントロール(IPC) HEX
データ解析
ターゲット | ベースライン | 閾値 | ポジティブ | ネガティブ |
---|---|---|---|---|
マイコプラズマ | Auto | Auto*2 | ≦45 | >45 |
内在性コントロール(IPC) | 22〜27*3 |
*2:閾値を手動設定する場合は、閾値ラインをグラフに引き、ポジティブコントロール反応における蛍光シグナルの飽和レベルの 5〜10%に閾値を合わせます。
*3:IPCのCt 値が27を超える場合は、大量の標的 DNA との競合反応によると考えられますが、結果は正常です。
製品データ
図1. 検出限界の評価
e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット(ver. 2.0)の検出限界を評価するため、7種のマイコプラズマ属菌を直接培養して得られた培養液から核酸を抽出し、製品の検出限界を評価した。抽出したゲノムDNAを1x10,000 CFU/ml〜1 CFU/mlに希釈し、5段階の濃度勾配で検出結果を確認した。その結果、全てのマイコプラズマゲノムDNAの検出限界は10 CFU/ml以下であった。
図2. 特異性の評価
e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット(ver. 2.0)の特異性を評価するため、 10 ng/µL の濃度のゲノム DNA を使用して 、マイコプラズマ以外の細菌株( Clostridium(C. perfringens)、Lactobacillus(L. Sakai)、Streptococcus(S. salivarius)) から核酸を抽出し、検出した。結果は陰性であり、IPCの増幅も22〜27と正常範囲内であった。
図3. 競合品との比較と検出性能の評価
e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット(ver. 2.0)は、競合他社のキットよりも最大で60分以上マイコプラズマ検出にかかる時間を短縮できた。また、10 CFU/mlのマイコプラズマの認定標準パネルを使用してすべて検出できることを確認した。
e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット (ver. 2.0)
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
e-MycoTM VALiD-Q Real-time PCR kit (ver.2.0) ![]() ![]() |
INB | 25246 | 50 TEST |
¥196,000 |
【関連商品】
e-Myco™ シリーズ 選択ガイド
品名 | e-Myco™ | e-Myco™ Plus | e-Myco™ VALiD |
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品番 | 25235 | 25237 | 25239 |
共通の特長 |
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製品ごとの特長 | 49種のマイコプラズマを検出 | 8属209種以上の幅広いマイコプラズマを検出 | 70種のマイコプラズマ (M.peumoniae, M.arginini, M.fermentans, M.hyorhinis, M.orale, Acholeplasmalaidlawii を含む)を検出 |
内在性コントロール: 結果の有効性を評価 |
トリプルチェックシステム: 内在性コントロール、サンプルコントロール、ターゲットバンド |
E.P. 2.6.7 と同様の KFDA テストガイダンスに従って検証 | |
12個の感染細胞/3.25 pg ゲノム DNA を検出 | 15個の感染細胞/6.3pg ゲノム DNA を検出 | 10 CFU/mL 以上のマイコプラズマを検出 |
品名 | e-Myco™VALiD-Q | e-Myco™VALiD-Q (ver. 2.0) |
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品番 | 25245 | 25246 |
特長 | 70種のマイコプラズマ (M.pneumoniae、M.arginini、M.fermentans、M.hyorhinis、M.orale、A. laidlawii を含む)をリアルタイムPCRで検出 |
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内在性コントロール、ポジティブコントロールで結果の有効性を評価 | ||
10 CFU/mL 以上のマイコプラズマを検出 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
※ 表示価格について
- 「e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット (ver. 2.0)」は、下記のカテゴリーに属しています。