本製品は、一般的なマイコプラズマ種(M.pneumoniae、M.arginini、M.fermentans、M.hyorhinis、M.orale、A. laidlawii)を含む様々なマイコプラズマ種をリアルタイムPCRで迅速に検出することができるキットです。
背景
マイコプラズマは、多形態(球状または糸状)を示す微小な原核生物で、細胞培養への混入細菌(コンタミネーション)としてよく見られます。マイコプラズマは、その限られた生合成能のために多くの栄養素を宿主に依存して増殖します。
最近の研究では、培養細胞の30〜85%はマイコプラズマに感染していると報告されており、M.orale、A.laidlawii、M.arginini、M.hyorhinisが頻繁に検出されます。通常、マイコプラズマは宿主細胞を死滅させず、代謝や生存率、形態等の細胞表現型に影響します。
マイコプラズマの検出法には、培養液/寒天培地からの分離、直接/間接蛍光染色、ELISA、免疫染色、PCR法等があります。ダイレクトPCR法は、プライマーが最適化されている場合、高感度・特異的・簡便に検出できる方法です。
使用目的
本製品は、マイコプラズマ種間(M.pneumoniae、M.arginini、M.fermentans、M.hyorhinis、M.orale、A. laidlawii)で高度に保存された16S rRNAのコーディング領域に特異的なプライマーとプローブを用いて、10 CFU/mL以上のマイコプラズマを検出する高感度な定量PCR試験です。90分以内にマイコプラズマのコンタミを検出することが可能で、ポジティブコントロールだけではなく、内在性コントロール(インターナルコントロール)も含まれるため、PCR阻害の有無を確認することができます。
特長
- リアルタイム定量PCRで高感度、特異的に検出。
- 非特異的プライミングを制御するCLP™(complementary locking primer)技術を用いたプライマー設計で、感度、特異性を向上。
- リアルタイムPCRに必要な全ての試薬が付属。
- マイコプラズマをFAMチャンネル、内在性コントロールをHEXチャンネルで検出。
構成内容
- 2X qPCR マスターミックス溶液
- dATP、dTTP、dGTP、dCTP
- ホットスタート PCR 酵素
- PCR additive materials を含む
- 検出溶液
- マイコプラズマ用プライマー/プローブ
- 内在性コントロール用プライマー
- 内在性コントロールDNA を含む
- DNase/RNase フリー水
- ポジティブコントロール(エクスターナルPC)
- リコンビナントDNA(M. hyorhinis の16S配列を含む)
使用方法
ワークフロー
プロトコール
■ プロトコールA:ボイル法
- 1.5mLチューブで細胞懸濁液を調製後、細胞数を計測します(>5x104 cells per test*)。
(* 強力な感染が疑われる場合、少ない細胞数(10〜100 個)でも検出可能な場合があります。必要に応じてテンプレートを希釈してください。) - 計測した細胞を1.5 mLチューブに移し、卓上遠心機で10〜15秒間遠心後、上清を取り除きます。
- 洗浄のために1mLの滅菌済みPBSまたはDPBSで細胞を再懸濁します。
- 卓上遠心機で10〜15秒間遠心後、上清を取り除きます。
- 細胞ペレットを、100μLの滅菌済みPBSまたはDPBSで再懸濁します。
- サンプルを95℃で10分間加熱後、5〜10秒間ボルテックスします。遠心機を使用して、室温で2分間遠心します(13,000 rpm)。
- 加熱後のサンプル上清を新しいチューブに移します(これをPCRの鋳型に用います。)
- リアルタイムPCRチューブにマスター溶液を調製します。
構成品 マスター溶液
(1テストあたり)2X qPCR マスターミックス溶液 10 μl マイコプラズマ検出溶液 5 μl (総量) 15 μl - マスター溶液15μLに、ステップ7の上清5μLを加えます。
(ネガティブコントロール:5μl DNase / RNase フリー水、ポジティブコントロール:5μl ポジティブコントロール) - 遠心後、リアルタイムPCRを行います。
反応条件 * 下線は検出ステップです。 ステップ サイクル数 温度 時間 初期変性 1 95℃ 5’ 30” PCR、シグナル検出 40 95℃ 15” 58℃ 1’ チャンネル設定 マイコプラズマ FAM 内在性コントロール(IPC) HEX
■ プロトコールB:ゲノムDNA法
- G-spin™ トータルDNA抽出ミニキット(品番:17046)で調製したゲノムDNA 5μL*を、マスター溶液15μLに添加します。
*テンプレートの適切量:DNA 50 ng–100 ng - プロトコールAのステップ10に従い操作を行います。
- 関連商品: G-spin™ トータルDNA抽出ミニキット
データ解釈
番号 | サンプル | マイコプラズマ (FAM) | IPC* (HEX) | 解釈 |
---|---|---|---|---|
1 | ポジティブコントロール | + | + | 適正 |
2 | ネガティブコントロール | - | + | 適正 |
3 | テスト 1 | + | + | 陽性 |
4 | テスト 2 | + | - |
陽性 |
5 | テスト 3 | - | + |
陰性 |
6 | ポジティブコントロール | - | + | 要再検査 |
7 | ネガティブコントロール | + | + | コンタミネーション |
*Internal Positive Control(内在性コントロール)
トラブルシューティング
問題点 | 考えられる要因 | 解決方法 |
---|---|---|
ΔRn ≤ ネガティブコントロールΔRn となり、両方とも増幅プロットを示さない | 色素の選択を誤っている | データ解析前に、色素を確認してください。 |
試薬を入れ忘れている | 全ての試薬が正しく調製されたかを確認してください。 | |
テンプレートが分解しているか添加されていない | 新鮮なテンプレートで再試験してください。 | |
反応阻害物質が含まれている | 精製テンプレートで再試験してください。 | |
ΔRn ≤ ネガティブコントロールΔRn となり、両方とも増幅プロットを示す | 試薬へのテンプレートのコンタミネーション |
コンタミネーションの原因として疑われる操作と設備を確認し、新しい試薬で再試験してください。 |
空間を洗浄後、エアロゾルバリアピペットを使用してください。 | ||
増幅プロットが右肩下がりになる | Ct値が15以下のため、増幅シグナルの検出が早い | ベースラインを再設定してください(Ct値よりも2サイクル低くします)。または、希釈サンプルで再試験してください。 |
増幅プロットが、対数増大期の範囲にない | PCR効率が悪い | 反応条件を最適化してください。 |
予想よりもCt値が高い | テンプレート量が少ない | サンプル量を増やしてください。 |
サンプルが分解している | サンプルが分解されていないか評価してください。 | |
予想よりもCt値が低い | テンプレート量が多い | サンプル量を減らしてください。 |
試薬へのテンプレートのコンタミネーション | コンタミネーションの原因として疑われる操作と設備を確認し、新しい試薬で再試験してください。 | |
空間を洗浄後、エアロゾルバリアピペットを使用してください。 |
e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
e-MycoTM VALiD-Q Mycoplasma qPCR Detection Kit![]() |
INB | 25245 | 50 TEST |
¥171,000 |
【関連商品】
- MycoClean™ Mycoplasma Prevention Spray
- マイコプラズマ汚染を防止するスプレータイプの溶液
特集:マイコプラズマ対策
e-Myco™ シリーズ 選択ガイド
品名 | e-Myco™ | e-Myco™ Plus | e-Myco™ VALiD |
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品番 | 25235 | 25237 | 25239 |
共通の特長 |
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製品ごとの特長 | 49種のマイコプラズマを検出 | 8属209種以上の幅広いマイコプラズマを検出 | 70種のマイコプラズマ (M.peumoniae, M.arginini, M.fermentans, M.hyorhinis, M.orale, Acholeplasmalaidlawii を含む)を検出 |
内在性コントロール: 結果の有効性を評価 |
トリプルチェックシステム: 内在性コントロール、サンプルコントロール、ターゲットバンド |
E.P. 2.6.7 と同様の KFDA テストガイダンスに従って検証 | |
12個の感染細胞/3.25 pg ゲノム DNA を検出 | 15個の感染細胞/6.3pg ゲノム DNA を検出 | 10 CFU/mL 以上のマイコプラズマを検出 |
品名 | e-Myco™VALiD-Q |
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品番 | 25245 |
特長 | 70種のマイコプラズマ (M.pneumoniae、M.arginini、M.fermentans、M.hyorhinis、M.orale、A. laidlawii を含む)をリアルタイムPCRで検出 |
内在性コントロール、ポジティブコントロールで結果の有効性を評価 | |
10 CFU/mL 以上のマイコプラズマを検出 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
※ 表示価格について
- 「e-Myco™ VALiD-Q マイコプラズマ qPCR 検出キット」は、下記のカテゴリーに属しています。