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記事ID : 14785
研究用

生活習慣病/老化予防研究/血管や靭帯に焦点をあてた機能性素材開発に エラスチン抗糖化アッセイキット(グリセルアルデヒド)

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エラスチン抗糖化アッセイキット(グリセルアルデヒド)は 96well プレートを用いることにより、無細胞および非酵素的にエラスチンの糖化反応を追うことができるキットです。糖代謝中間体であるグリセルアルデヒドを用いることで、エラスチンの糖化反応を阻害する物質のスクリーニングをより短期間に行うことができます。
生活習慣病および老化予防研究や血管や靭帯などに焦点をあてた機能性素材開発にご利用ください。

背景

糖類は生命活動において不可欠な栄養素であるが、生体内のタンパク質と共存すると、 タンパク質内のリジンやアルギニン残基を修飾し架橋形成し、タンパク質の立体構造を変え、活性や物性に大きく影響を及ぼします。 この反応は糖化反応(Glycation)もしくはメイラード反応と呼ばれ、アマドリ転移物が生成する前期反応と、 酸化、脱水、縮合などの反応を経て糖化反応後期生成物(advanced glycation endproducts:AGEs)に至る後期反応に分けることができます。

エラスチンはコラーゲンと共に細胞外マトリックスのひとつであり、疎水性アミノ酸が多くアラニン、グリシン、バリン、プロリンが大半を占めます。エラスチンは大動脈、靭帯、肺、皮膚、結合組織などに多く分布する弾性線維性のタンパク質で、生体内ではコラーゲンにコイル状に巻きつき(図1)組織の形状を維持し、弾力性・伸縮性を与えています。血管壁の中膜部分にエラスチンが多く含まれ、太くて血圧がかかる動脈ほどその含有率は高くなります。血管に働く弾力性・柔軟性はエラスチンにより維持されています(図2)。

図1 皮膚組織中のエラスチン図2 動脈壁中のエラスチン
図1(左) 皮膚組織中のエラスチン
図2(右) 動脈壁中のエラスチン

加齢や糖尿病などの疾患により血管壁や皮膚組織中のエラスチンにも糖化(glycation)が起こり、血管や皮膚の硬化・老化の原因となることが報告されています。

使用目的

本キットは糖化したエラスチン溶液から発せられる蛍光(励起波長370 nm、蛍光波長440 nm)を指標として、抗糖化作用成分を探索することに適しています。

構成内容

本キットは、96ウェルプレート2枚分のアッセイが可能です。

内容 容量 数量
エラスチン溶液 10 mL 1 本
グリセルアルデヒド溶液(500mM) 2 mL 1 本
緩衝液 30 mL 1 本
アミノグアニジン溶液(20mM)
※抗糖化標準物質
0.5 mL 1 本

ご準備いただくもの(その他必要なもの)

  • 96ウェルプレートを用いた測定では、96ウェルブラックプレート(滅菌済み)が必要です。
    (グライナー社製 μCLEAR® -PLATE BLACK 品番:655090 または同等品)
  • 蛍光プレートリーダー(励起波長370 nm、蛍光波長440 nm)が必要です。

μCLEAR® は、Greiner Bio-One 社の登録商標です。

測定方法

  1. エラスチン溶液は、使用前に室温に戻してください。
  2. エラスチン溶液を 1ウェルあたり 50 μLずつ 96ウェルプレートに分注してください。
  3. 試験試料は緩衝液で溶解または抽出したものをフィルター(孔径0.22 μm)でろ過滅菌し、エラスチン溶液が入ったウェルに 40 μL添加してください。
  4. 陽性コントロールはアミノグアニジン溶液(20 mM)を緩衝液で 5倍希釈系列を作製し、エラスチン溶液が入ったウェルに 40 μL添加してください。
  5. 全てのウェルに 500mM グリセルアルデヒド溶液を 10 μL添加し、プレートのふた(シール)を閉じてプレートミキサー等で撹拌してください。
    グリセルアルデヒド溶液を添加することで糖化が開始します。
  6. グリセルアルデヒド溶液添加後5 分以内に、蛍光プレートリーダーで励起波長370 nm、蛍光波長440 nm の蛍光強度を測定してください。この測定値を反応 0時間の蛍光強度A とします。
  7. プレートは、溶液の乾燥を防ぐため湿潤状態下(注意1)の 37℃ インキュベーターで 3〜6 日間静置してください。反応期間は長いほど糖化は進みます。
  8. 蛍光プレートリーダーで励起波長370 nm、蛍光波長440 nm での蛍光強度を測定して下さい。この測定値を蛍光強度B とします。
  9. 各ウェルの糖化度を、蛍光強度B − 蛍光強度A とします。

実施例

アミノグアニジンの抗糖化活性 植物由来抽出物の抗糖化活性試験

抗糖化標準物質であるアミノグアニジンと植物由来抽出物におけるエラスチン抗糖化活性を検討した(糖化3日目の結果を示す)。各試料において濃度依存的に抗糖化活性を有することが認められた。ただし、濃度は試料溶液中の濃度を示す。

    参考文献

  1. Rungaroon Waditee-Sirisattha, Hakuto Kageyama.
    Protective effects of mycosporine-like amino acid-containing emulsions on UV-treated mouse ear tissue from the viewpoints of antioxidation and antiglycation, Journal of Photochemistry & Photobiology, B: Biology, 223 (2021) 112296

エラスチン抗糖化アッセイキット(グリセルアルデヒド)

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
エラスチン抗糖化アッセイキット(グリセルアルデヒド)
Elastin Glycation Assay Kit, Glyceraldehyde詳細データ
CSR AAS-AGE-K05 1 KIT
[96well x2]
¥52,000

タンパク質の違いによるキット選定

糖化されるタンパク質 ターゲット研究 品名(品番)
コラーゲン 皮膚・骨などの結合組織 コラーゲン抗糖化アッセイキット, グリセルアルデヒド(品番:AK71)
血清アルブミン 血液タンパク、糖尿病マーカー アルブミン抗糖化アッセイキット, グリセルアルデヒド(品番:AAS-AGE-K01
エラスチン 皮膚・血管の老化 エラスチン抗糖化アッセイキット, グリセルアルデヒド(品番:AAS-AGE-K05)

【関連商品】

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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