カルセインAMやフルオレセインジアセテート誘導体を含む様々な蛍光性エステラーゼ基質は、酵素活性および細胞膜の完全性を評価するための生存率プローブとして役立ちます。これらのプローブは、ほぼ全ての細胞種のインタクトな細胞膜を通過し受動拡散します。これらのプローブが細胞内に入ると、細胞内エステラーゼにより加水分解されて蛍光産物となり、インタクトな細胞膜内に保持されます。これに対し、死細胞や損傷した膜をもつ細胞では、蛍光産物は保持されずに漏出します。蛍光性エステラーゼ基質は蛍光顕微鏡、フローサイトメーター、および蛍光マイクロプレートリーダーで検出できます。
特長
- 放射性物質を使用した技術よりも安価で、危険性が低い
- 呈色アッセイに比べて高感度な蛍光検出
- 死細胞指示薬と組み合わせた多色分析などにも便利
製品ラインアップ
細胞生存率と細胞障害性アッセイ用のエステラーゼ基質の概要
エステラーゼ基質 | 細胞内特性 | Ex (nm) | Em (nm) |
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BCECF, AM (品番:21202) |
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503 | 528 |
Calcein, AM (品番:22002) |
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501 | 521 |
Fluorescein Diacetate (FDA) (品番:22020) |
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498 | 517 |
CFDA [5-(and 6)-Carboxyfluorescein diacetate] (品番:22021) |
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498 | 517 |
CytoTrace™ Green CMFDA (品番:22017) |
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498 | 517 |
CytoTrace™ Orange CMTMR (品番:22014) |
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541 | 565 |
CytoTrace™ Red CFDA (品番:22016) |
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560 | 574 |
CytoTrace™ Red CMTPX (品番:22015) |
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577 | 602 |
製品データ
図1:Calcein UltraGreen™ AM (品番:21905) を用いて96ウェルCostar黒色/クリアボトムプレート内で染色したHeLa細胞の蛍光画像。細胞生存率指示薬を含まない緩衝液で細胞を洗浄した後、細胞を蛍光顕微鏡のFITCフィルターセットでモニターした。
図2:フルオレセイン二酢酸 (品番:22020, 緑色) と、ヨウ化プロピジウム (品番:17517, 赤色) の励起と発光スペクトルより明瞭なスペクトル分離が確認でき、生細胞と死細胞の2色評価が可能である。フルオレセイン二酢酸とヨウ化プロピジウムのいずれも488nmアルゴンイオンレーザーで効率よく励起された。フルオレセイン二酢酸はFITCフィルターセットで画像化できる。ヨウ化プロピジウムはTexas Redフィルターセットで画像化できる。
図3:カルセインAM色素の励起(左)と発光(右)スペクトル
1) Calcein Blue (品番:22006)
2) Calcein UltraGreen™ AM (品番:21905)
3) Calcein AM (品番:22002)
4) Calcein Orange™ diacetate (品番:22009)
5) Calcein Red™ AM (品番:21900)
6) Calcein Deep Red™ (品番:21902)
図4:Nuclear Blue™ DCS1 (品番:17548, Blue) と CytoTrace™ Red CFDA (品番:22016, Yellow)の励起と発光スペクトルより明瞭なスペクトル分離が見られ、細胞集団における生細胞と死細胞の2色評価が可能であることがわかる。Nuclear Blue™ DCS1は一般的な350nm UV励起で効率よく励起されDAPIフィルターセットで画像化できる。CytoTrace™ Red CFDA は543nmヘリウムネオンレーザーで効率よく励起されCy3/TRITCフィルターセットで画像化できる。
カルセインAMは、生細胞の細胞生存率を測定するために一般的に使用されている疎水性化合物です。 カルセインへのAMエステルの結合は、損傷のない細胞膜への透過を促進し、色素がエステラーゼ触媒加水分解によって細胞内で活性化されると蛍光シグナルを生成します。このエステラーゼ活性は生細胞数に比例するため、カルセイン産物の蛍光強度と正比例します。
カルセインは495nmと515nmにおいて最大励起と最大発光を示し、GFPやFITCと同様のスペクトル特性をもつため、GFPやFITCとの多色分析にはほとんど使えません。
この限界に立ち向かうため、AAT Bioquest(ABD)社では、様々な蛍光発光をもつ包括的なカルセイン類似体を開発しました(図3)。例えば、Calcein UltraBlue™ AM (Ex/Em = 360/445 nm) を細胞非透過性Nuclear Green™ DCS1 (Ex/Em = 503/526 nm) といった緑色蛍光指示薬と組み合わせて用いることで、細胞生存率や細胞毒性の多色評価を行うことができます。
CytoCalcein™ Violet 450 と CytoCalcein™ Violet 500プローブは、フローサイトメーターに一般的に装備されている405nmの紫ダイオードレーザーで効率よく励起するよう最適化されています。加水分解され励起するとCytoCalcein™ Violet 450は青色蛍光を産生し、CytoCalcein™ Violet 500は緑色蛍光を産生します。
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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Calcein, AM | ABD | 22002 | 1 MG |
¥24,000 |
Calcein UltraGreenTM AM | ABD | 21905 | 10*50 UG |
¥48,000 |
Calcein Blue | ABD | 22006 | 25 MG |
¥18,000 |
Calcein OrangeTM diacetate | ABD | 22009 | 1 MG |
¥48,000 |
Calcein RedTM AM | ABD | 21900 | 1 MG |
¥48,000 |
Calcein Deep RedTM | ABD | 21902 | 1 MG |
¥48,000 |
CytoCalceinTM Violet 500 *Excited at 405 nm* | ABD | 22013 | 1 MG |
¥48,000 |
CytoCalceinTM Violet 450 *Excited at 405 nm* | ABD | 22012 | 1 MG |
¥48,000 |
フルオレセイン二酢酸(Fluorescein Diacetate:FDA)は、細胞生存率評価に使用できる細胞透過性かつ非蛍光フルオレセイン誘導体です。細胞内に入ると、エステラーゼが二酢酸基を加水分解してフルオレセインが産生します。488nmアルゴンレーザーで励起されると、FDAは緑色蛍光を発します。FDAは、細胞生存率の決定にヨウ化プロピジウム(PI)と組み合わせて使うことができます。非生存細胞と生存細胞をこの2色で分離することで、単色分析に比べて細胞生存率をより正確に定量できます。フルオレセインは光退色の割合が高く細胞保持がよくないため、代替品としてカルボキシフルオレセイン二酢酸やCytoTrace™色素の使用をお奨めします。
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
FDA [Fluorescein diacetate] | ABD | 22020 | 1 G |
¥18,000 |
カルボキシフルオレセイン二酢酸(CFDA)はスペクトル的にFDAと同一であり、蛍光性細胞生存率指示薬として使用できます。細胞内エステラーゼによりCFDAが加水分解されると、カルボキシフルオレセインが産生し、488nmアルゴンレーザーで励起されると緑色蛍光を発します。フルオレセインに比べ、カルボキシフルオレセインにはより多くの負電荷が含まれるため細胞内保持が改善されています。
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
CFDA [5-(and 6)-Carboxyfluorescein diacetate] *Mixed isomers* | ABD | 22021 | 100 MG |
¥18,000 |
ATT Bioquest (ABD) 社のCytoTrace™ 色素は、細胞生存率評価用の細胞透過性チオール反応性蛍光指示薬です。さらに、長期にわたる細胞増殖トレーサーとしても機能します。CytoTrace™ 色素は、細胞集団内の近接細胞に転移することなく多くの生細胞において複数世代を超えて良好に保持されます。蛍光顕微鏡やフローサイトメトリーを用いてモニターできます。
CytoTrace™ Green CMFDA と CytoTrace™ Red CFDAは、細胞膜を自由に透過でき、細胞成分と反応すると細胞不透過性産物に変換されます。これらの指示薬を導入した細胞は、通常少なくとも24時間にわたり蛍光を発し生存します。染色パターンはシグナル増幅や他の下流アプリケーションに向けてホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドで固定できます。
CytoTrace™ Orange CMTMR と CytoTrace™ Red CMTPXは、細胞透過性かつ蛍光度の高いローダミン色素であり、その蛍光活性化にエステラーゼ切断を必要としません。これらの指示薬を導入した細胞は、通常少なくとも72時間にわたり蛍光を発し生存します。これらの色素は希釈濃度において安定かつ無毒であり、生理学的pHにおいて明るい蛍光を発します。CytoTrace™ CMTMR とCMTPX色素の励起と発光スペクトルは、GFPと良好に分離できるため、マルチプレックス分析に適しています。
CytoTrace™ 色素を、PIやABD社のNuclear DCS1色素といった膜非透過性核酸染色試薬とともに使用すると比較的長期にわたり細胞生存率と細胞障害性の定量を行うことができます。
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
CytoTraceTM Green CMFDA | ABD | 22017 | 1 MG |
¥48,000 |
CytoTraceTM Orange CMTMR | ABD | 22014 | 10*50 UG |
¥48,000 |
CytoTraceTM Red CMTPX | ABD | 22015 | 10*50 UG |
¥48,000 |
CytoTraceTM Red CFDA | ABD | 22016 | 1 MG |
¥48,000 |
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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BCECF, AM | ABD | 21202 | 1 MG |
¥36,000 |
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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