当社では腸内細菌の16S rRNA遺伝子による「メタゲノム解析」を用いて解析いたします。
解析オプションとしてメタゲノム解析データ成型解析によるα多様性、β多様性解析、Unifrac Distance解析をサービスメニューとして用意しております。またPICRUStなどの解析も対応可能です。さらに、弊社では糞便中の腸内環境解析メニューとして、腸管バリア機能の指標といえるムチンとIgA含量の測定を行っています。
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当社では腸内細菌の16S rRNA遺伝子による「メタゲノム解析」を用いて解析いたします。
解析オプションとしてメタゲノム解析データ成型解析によるα多様性、β多様性解析、Unifrac Distance解析をサービスメニューとして用意しております。またPICRUStなどの解析も対応可能です。さらに、弊社では糞便中の腸内環境解析メニューとして、腸管バリア機能の指標といえるムチンとIgA含量の測定を行っています。
ヒト腸内には、ヒト一人分の細胞数(37兆個)の約30倍以上にあたる1,000兆個の色々な細菌が生存し、腸内フローラ(腸内細菌叢, Microbiome, intestinal flora)を構成しています。腸内細菌は菌種によってヒトの健康に有益な物質を産生する一方、有害な物質も産生しています。近年、腸内細菌叢と疾患の関係についての研究が急速に進展し、潰瘍性大腸炎、クローン病などの消化器疾患をはじめ、肥満、糖尿病などのメタボリックシンドローム、アトピー、アレルギー、がんなどの免疫疾患、さらには自閉症やうつ病など精神疾患にいたるまで様々な論文報告が出てきました。
腸内フローラの変動は、遺伝的な要因よりも、生活習慣、特に食事に大きく左右されていることが示され、肥満状態と正常体重で腸内フローラが、Firmicutes / Bacteroidetes(門)において異なること、また腸内フローラが変化することで生活習慣病を引き起こす可能性も報告されています。1)2)3)4) これまで腸内フローラ改善法としてプレバイオティクス、プロバイオティクスの概念のもとオリゴ糖、乳酸菌、ビフィズス菌などの摂取が推奨されてまいりました。しかし近年の研究報告から、生体は腸管上皮杯細胞から分泌されるムチン、粘膜固有層の形質細胞(プラズマ細胞)より分泌されるIgAなどの物質を介して、腸内フローラとある一定の距離を置いて接しており、またこれらの物質は、摂取した食品成分によって大きく変動することが示されてきています。5)6)
これまで腸内細菌の解析には培養法が多く用いられてきました。しかしながら、培養法が確立できている菌種は腸内細菌のわずか20%程度で、解析には多大な労力と熟練が必要でした。近年はそれに代わって分子生物学的な手法が発達し、簡便に、再現性の高い解析が可能になりました。7)8) その中で、当社では腸内細菌の16S rRNA遺伝子による「メタゲノム解析」を用いて解析いたします。解析オプションとしてメタゲノム解析データ成型解析によるα多様性、β多様性解析、Unifrac Distance解析をサービスメニューとして用意しております。また、PICRUStなど一部解析を追加する事も可能です。さらに、弊社では糞便中の腸内環境解析メニューとして、腸管バリア機能の指標といえるムチンとIgA含量の測定を行っています。
糞便からゲノムDNAを抽出し、16S rRNA領域配列を用いた次世代シーケンサーによるメタゲノム解析にて腸内フローラの解析を行います。メタゲノム解析では次世代シーケンサーを用いて1検体あたり100,000リードを目標として腸内フローラの網羅的な解析を行います。解析レポートには、門から種まで全ての階層での分類結果、Shannon、Gini-Simpsonの各多様性指数、PCoA(主座標)分析、UPGMA法による系統樹などのデータが含まれます。
アレルギー発症モデルマウス6匹の糞便を用いた解析例
左:Normal 群(通常食)
右:Test 群(アレルギー誘導食)
α多様性とは個体内の環境における種多様性を表す指標です。本サービスではレアファクション解析の他、サンプルごとの多様性指数を算出し腸内細菌種数の比較を行います。
上記データでは Norml および Test の2群間で顕著な差は見出されませんでした。
メタゲノム解析データを成型し、PCoA解析2D、3Dプロットデータ、樹形図を作成致します。
プロットデータでは距離が離れているほど、樹形図では上流で分かれているほど菌叢の差が大きい事を表します。
樹形図作成
サンプル間の総当たりの距離データ、検定結果を収録していますので、ご自身で任意の群間で距離の有意差検定も可能です。
消化管内では IgA とムチン等によって、腸内細菌や腸内細菌が産生する毒素が生体内に侵入してくることを阻止しています。 弊社では腸管バリア機能として、糞便中のIgA 含量およびムチン含量を測定します。IgAはELISA、ムチンは自社開発した蛍光測定キット(品番:FFA-MU-K01)にて測定致します。
糞便中の IgA 濃度
糞便中のムチン濃度
マウスの小腸で分泌されるαディフェンシンのなかで最も抗菌活性が高く、腸内環境に与える影響が大きいと考えられている Cryptdin-4 (Crp4) 1) を ELISA により測定します 。2)なお、測定対象となるマウスストレインは ICR/CD1 です。3)
参考文献
1. Garcia AE, et al., Biochemistry. 2011 Dec 6;50(48):10508-19.
2. Nakamura K, et al., Anal Biochem. 2013 Dec 15;443(2):124-31.
3. Michael T. S. et al., Infect Immun. 2011 Jan; 79(1): 459–473.
盲腸内容物か糞便であることが多いですが、他の腸管内容物でもかまいません。もしくは、上記の検体から抽出した微生物ゲノムDNAからの解析もお請けします。 また提供者のインフォームド・コンセントが得られていることが前提となり、提供者の個人情報が特定できないようにサンプル名を匿名化して下さい。
菌叢解析においては腸管内容物、糞便の場合 200 mg 以上。
ムチン、IgA解析も同時にご依頼をいただく場合はそれぞれ別途100 mg以上の糞便が必要です。
ゲノムDNAの場合 ヌクレアーゼフリー水をご使用の上30 µL以上。濃度 (ng/µL)、純度 (A260/280)の情報を添付願います。
腸管内容物を解析検体とする場合は、摘出後組織を取り除いて速やかに凍結保存し、-20℃以下でご送付下さい。 マウス/ラットの糞便は、採取日の24時間分をすべて集めて下さい。コニカルチューブ等に集め、−20℃以下で保存、ご送付下さい。冷蔵では細菌叢が変化してしまいますのでご注意下さい。 ゲノムDNAの場合は4℃、または−20℃でご送付下さい。 ヒト採便に関しましてはテクノスルガ・ラボ社製の採便キットをご使用頂きます。ブラシタイプ、スプーンタイプの2種類ございます。
●ブラシタイプ
常温で1ヶ月迄、菌叢を動かさない事が可能であるため、常温で保管、ご送付頂くことが可能です。冷凍を行いますと内容物の保存液が膨張を起こし、採便キット破損の原因になります。ただし、夏の猛暑時などは、加温による膨張(液漏れ)を防ぐため、冷蔵便を推奨しています。主にご自宅で採便をされる場合に向いているキットになります。なお、本タイプは保存液に糞便を懸濁するために秤量が出来ませんので、IgA や ムチンの定量をご希望の際にはご使用ただけません。
●スプーンタイプ
保存液が入っておりませんので冷凍にて保存、郵送をして頂きます。比較的安価な上に定量試験を行う場合、便の秤量が必要になりますので本タイプをご選択頂きます。主に病院等で採便される様な冷凍施設が充実している施設内での採便向きのキットになります。
※ヒト由来サンプルのお預かりに際しましては、非感染性検体の確認書PDFに必要事項をご記入頂きます。
感染性検体の場合は別料金となりますので、必ず事前にお知らせ下さい。
弊社では、下記の DNA 抽出プロトコルを推奨しております。
2017年にドイツの研究チームによって、ヒト糞便からの DNA 抽出法 21 種を比較し、最も良好に検出が行われた手法になります。
当社のDNA抽出サービスではQIAamp Fast DNA Stool Mini Kitを使用して、上記プロトコルに沿ってBeads Beatingを行っています。
腸管内容物、糞便、抽出DNAは廃棄いたします。残余検体の返送が必要な場合はあらかじめご連絡をお願いいたします(返送費用は別途お見積となります)。なお、検体の保管業務は請け負っておりません。
下記のリンクから見積のご依頼をお願い致します。
サンプル送付先はお見積り時に別途お知らせいたします。
Masaaki Nagano, Masatake Fujimura, Yuya Tada, Yoshiyuki Seko.
Dietary Fructooligosaccharides Reduce Mercury Levels in the Brain of Mice Exposed to Methylmercury
Biol Pharm Bull. 2021;44(4):522-527. doi: 10.1248/bpb.b20-00806.
ラットにおけるボーロの消化性およびプレバイオティクス効果
吉川 和志; 蔵本 百香; 河合 美沙紀; 宮下 亜矢; 中川原 英之; 岸田 邦博
日本食品保蔵科学会誌 46 4 163 - 173 (2020年09月)
粒度分布の異なる馬鈴薯デンプンを用いて調製したボーロのラットにおける消化性とプレバイオティクス効果の類似性
岸田邦博; 藤原由季子; 宮下亜矢; 中川原英之
日本食品保蔵科学会誌 48 3 109 - 119 (2022年05月)
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