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精製AAVサンプルの力価を迅速に定量 QuickTiter™ AAV Titer ELISAキット

カテゴリから探す > 分子生物 > 遺伝子導入 > ウイルス系トランスフェクション試薬 > アデノ随伴ウイルス（AAV）

メーカー名：Cell Biolabs, Inc.

本製品は、精製済みAAV試料の力価を迅速に測定できるELISAキットです。スタンダードおよび未知サンプルの測定を含めて最大96アッセイを行うのに十分な試薬が含まれています。

背景

ウイルスを利用した遺伝子導入システムには、レトロウイルス（RV）、アデノウイルス（AdV）、アデノ随伴ウイルス（AAV）、レンチウイルス（LV）、単純ヘルペスウイルス（HSV）をもとに開発されたベクターがあります。AAVはパルボウイルス科に属し、最も小さい一本鎖非エンベロープDNAウイルスの一群に含まれます。現在までに11種類の異なるAAVセロタイプが報告されています。
この中でも組換えAAV-2は遺伝子導入に最もよく用いられるセロタイプで、ヘルパーウイルスやCell Biolabs社の AAV Helper-Free System を利用することで高力価で産生できます。AAV-2は分裂細胞・非分裂細胞の両方に感染でき、ヒト細胞内で安定して存在できるため、長期的な遺伝子導入が可能です。さらに、AAV-2は本来、自力では完全な感染を成立させられず、外部から補助因子の供給が必要な自然欠損ウイルスであることから、最も安全なウイルスベクターのひとつと考えられています。
近年、新しいベクター AAV-DJ が開発されました。これはDNAファミリーシャッフリング技術を用い、8種類の異なるAAVセロタイプ由来のカプシドを組み合わせて作られたハイブリッドで、幅広い細胞や組織において有意に高いin vitro感染効率を示します。組換えAAV-2およびAAV-DJベクターは、CsCl密度勾配超遠心法、ヨードキサノール不連続勾配超遠心法、あるいはCell Biolabs社の ViraBind™ AAV Purification Kit によって精製することができます。
ウイルスベクターによる遺伝子導入で特に課題となるのは、ウイルス力価を正確に測定することです。従来、AAV粒子はDNAドットブロットなどの方法でゲノムコピー数（GC）として定量されてきましたが、これらは時間がかかり、アッセイ間のばらつきが大きいという問題がありました。

測定原理

AAVのカプシド構造は、VP1・VP2・VP3の3種類のカプシドタンパク質（VP）が組み合わさってできています。1つのウイルス粒子あたり合計60分子のVPモノマーが含まれ、その比率はVP1：VP2：VP3 = 5：5：50 です（参考文献4）。
マイクロタイタープレートには、これら3種類すべてのVPサブユニットに結合可能な抗AAV VP抗体が吸着されています。サンプルや標準品中のAAV VPは、このプレート上の抗体に結合します。続いてビオチン化抗AAV VPポリクローナル抗体を添加すると、最初の抗体に捕捉されたAAV VPに結合します。インキュベーションと洗浄の工程を経た後、ストレプトアビジン-酵素コンジュゲートを添加し、これは抗AAV VPポリクローナル抗体に結合します。非結合のストレプトアビジン-酵素コンジュゲートは洗浄で除去され、その後ウェルに基質溶液を加えると、サンプル中のAAV粒子数に比例した発色反応が起こります。反応停止液で反応を停止し、450 nmで吸光度を測定します。不活化AAVスタンダードを用いて標準曲線を作成し、そこからサンプル中の濃度を算出します。

特長

検出感度：3.1 x 10⁸ 粒子/mL
認識するセロタイプ：AAV-1, AAV-2, AAV-3, AAV-5, AAV-6, AAV-8, AAV-9, AAV-10, AAV-DJ, AAV-DJ/8

構成内容

Box1

抗AAV VP抗体コート済プレート
1000X ビオチン化抗AAV VP抗体
ストレプトアビジン-酵素コンジュゲート
アッセイ希釈液
10X AAV溶解バッファー
10X 洗浄バッファー
基質溶液
反応停止液
Box2
不活化AAV2スタンダード

製品データ

図1. 本キットの標準曲線

図2. 不活化AAV-DJの測定結果

参考文献

Rabinowitz, J, and Samulski, R. J. (1998) Curr. Opin. Biotechnol., 9, 470-475.
Summerford, C., and Samulski, R. J. (1999) Nat. Med., 5, 587-588.
Clark, K., Liu, X., McGrath, J., and Johnson, P. (1999) Hum. Gene Ther., 10, 1031-1039.
Sonntag, F., Schmidt, K., and Kleinschmidt, J.A. (2010) Proc Natl Acad Sci U S A., 107, 10220-5.