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技術情報

記事ID : 44132

FlexAble Antibody Labeling Kitを用いた非共有結合性の抗体ラベリング法を解説Proteintech社 抗体標識キットの使用方法(プロトコール)


FlexAble(フレクサブル)抗体標識キットは、"非"共有結合性の「高親和性リンカー」を使用するタイプの新しい抗体標識キットです。本稿では、FlexAble(フレクサブル)抗体標識キットの使用方法(プロトコール)およびマルチプレックス(多重)染色のための抗体標識法を紹介します。

背景

■ 抗体を標識する方法とは?

抗体標識法は一般的に「共有結合標識(抗体と標識物質間を化学的に結合する方法)」と「"非"共有結合標識(抗体と標識物質間の強固な相互作用を利用する方法)」の2種類が存在します。

「共有結合標識」では、「NHS反応」(タンパク質や抗体中の「アミノ基-NH2」を利用して化学的に架橋/修飾する方法)や「Maleimide(マレイミド)反応」(タンパク質や抗体中の「スルフィドリル基-SH」を利用して化学的に架橋/修飾する方法)を利用して、抗体に蛍光色素等の標識物質を結合させます。共有結合性の化学反応は、抗体やタンパク質表面に存在する反応可能なアミノ酸残基を全て標識します。分子間で化学的に強固な結合が形成される一方、そのランダム性の標識によって、標識部位と標識度(DOL:degree of labeling)が不均一となり、タンパク質の活性や抗体のパラトープ(抗原結合部位)を損なう場合があります。また、ゼラチンやBSA(ウシ血清アルブミン)等のキャリアタンパク質やグリセロール、保存剤等が添加されている溶液では適さない場合があると共に、ある程度濃度が高い抗体やタンパク質溶液を多量に必要とするため、事前のバッファーの交換や除去操作、抗体溶液の濃縮操作を必要とします。

抗体を標識する場合、免疫グロブリン(Ig)に対するアフィニティ試薬(例. 抗Ig Fabフラグメント等)を用いる「非共有結合標識」も利用することができます。親和性を利用する非共有結合性の標識法では、免疫グロブリン(Ig)のFc領域特異的なアフィニティ試薬を利用することで、抗原結合部位に干渉せず、一次抗体の機能性を維持した状態で均一に抗体を標識することができます。また、抗体濃度やバッファー組成に関係なく標識可能であり、バッファー中にBSA等のキャリアタンパク質、50%グリセロールが添加されている場合や抗体濃度が低い場合でもあらゆる条件の一次抗体を標識することができます。一方、親和性の低い標識試薬の場合、標識試薬が抗体から急速に解離するおそれがあり、蛍光や発色等の検出可能時間が短くなる(例. 標識後数十分以内での使用等)という課題が存在しました。プロテインテックの『FlexAble(フレクサブル)抗体標識キット』では、高い親和性を有する小分子のポリペプチドを開発し、標識後1~2日間安定な標識一次抗体を生成することを可能にしました。

■ FlexAble(フレクサブル)抗体標識キットの原理

FlexAble(フレクサブル)抗体標識キットは、高い親和性を示す非共有結合性の『FlexLinker(フレックスリンカー)』を用いて抗体を標識します。FlexLinkerは、抗体と数分以内で強く結合します。抗体と結合しなかったFlexLinkerは『FlexQuencher(フレックスクエンチャー)』を添加することによって無効化(中和/遮断)されます。

FlexAble抗体標識キットの原理
図. FlexAble抗体標識キットの原理

特長

FlexAble(フレクサブル)抗体標識キットの特長

  • 迅速かつ簡便な2ステッププロトコール
  • 各操作の所要時間は30秒程度、わずか10分間で標識完了
  • 前処理不要、専用装置不要
  • 標識後すぐに実験に使用可能

構成内容

FlexAble(フレクサブル)抗体標識キットには何が入っていますか?

  • FlexLinker(フレックスリンカー)
  • FlexQuencher(フレックスクエンチャー)
  • FlexBuffer(フレックスバッファー)

キット有効期間(保証期間)は、冷凍(-20℃)条件下で12か月間、冷蔵(4℃)条件下で6か月間です。試薬類は暗所で保管してください。

標準ワークフロー(プロトコール:0.5µgの一次抗体を標識する場合)

FlexAble抗体標識キットの使用方法
図. FlexAble抗体標識キットの標準ワークフロー

実験開始前にすべての試薬を室温に戻してください。

  1. 一次抗体0.5µgとFlexLinker 1µLを混和します。FlexBufferを添加して全量を8µLにします。
  2. 穏やかに混和し、暗所下、室温で5分間インキュベーションします。
  3. FlexQuencher 2µLを添加します。
  4. 穏やかに混和し、暗所下、室温で5分間インキュベーションします。

以上の操作で抗体標識は完了しました。直ちに目的のアプリケーションに使用できます。

スケールアップ:一次抗体の量を増やす場合は添加する試薬の量も増やしてください。

■ 商品添付「プロトコール」はこちらから閲覧できます

マルチプレックス(多重化)染色のための標識方法

異なる免疫動物由来の一次抗体を標識する場合(同一チューブ内で標識)

異なる免疫動物由来の一次抗体を同一チューブ内で混和し、それぞれの免疫動物特異的なFlexLinkerを用いることで同時に一次抗体を標識することができます。標識する一次抗体の量を基に、添加する試薬の量を適宜調節し、スケールアップしてください。

異なる免疫動物由来の一次抗体を使用する場合の抗体標識法
図. 異なる免疫動物由来の一次抗体を使用する場合の抗体標識法

同一の免疫動物由来の一次抗体を標識する場合(個別チューブ内で標識後に混合)

同一の免疫動物由来の一次抗体を複数使用する場合は、各抗体を個別に標識してください。標識完了後、それぞれの一次抗体を組み合わせて、目的のアプリケーションに使用できます。

同一の免疫動物由来の一次抗体を使用する場合の抗体標識法
図. 同一の免疫動物由来の一次抗体を使用する場合の抗体標識法

FlexAble抗体標識キットを用いて標識された一次抗体は、市販の標識済み一次抗体と一緒に使用することもできます。

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FlexAble(フレクサブル)抗体標識キット
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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
使用しないように、十分ご注意ください。


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