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Gタンパク質およびβ-アレスチンを介するアンギオテンシンIIによるシグナル伝達
Angiotensin II-Stimulated Signaling Through G Proteins and β-Arrestin
Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 311, pp. cm14, 22 November 2005
[DOI: 10.1126/stke.3112005cm14]
Sudha K. Shenoy2 and Robert J. Lefkowitz1,2*
1Department of Medicine, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.2Howard Hughes Medical Institute, Durham, NC 27710, USA.
Corresponding author. E-mail, lefko001@receptor-biol.duke.edu
要約 β-アレスチンは、起源を同じくする7回膜貫通型受容体群[(7TMR)、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)としても知られる]と結合するヘテロ三量体のグアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質)を阻害するタンパク質としてもともと同定された。β-アレスチンは、今日では様々な細胞表面受容体の正のシグナル伝達メディエーターとして評価されている。マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)、特に細胞外シグナル調節性キナーゼ1および2(ERK1/2)の活性化は、様々な増殖因子受容体および7TMRの刺激に起因する細胞内シグナル伝達の特徴となっている。結果として生じるERK活性は、複数の平行する、あるいは収束するメカニズムを介して引き起こされる可能性がある。ヒト胎児腎臓293(HEK-293)細胞をモデル系として用い、RNA干渉技術を利用することによって、アンギオテンシンIIを介するERK活性化の2つの異なる経路が明らかになった。すなわち、(i)核ERKの一過性の活性化を引き起こすGタンパク質依存性の経路、および(2)サイトゾルおよびエンドソームに局在するERKの持続的な活性化につながるβ-アレスチン依存性の経路である。Gタンパク質およびβ-アレスチン経路で活性化されるERKが空間的および時間的に分離されていることから、生理学的な結果が異なることが示唆される。したがって、これらの経路の1つを選択的に活性化または阻害するリガンドは、治療に役立つ可能性がある。
S. K. Shenoy, R. J. Lefkowitz, Angiotensin II-Stimulated Signaling Through G Proteins and β-Arrestin. Sci. STKE 2005, cm14 (2005).