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シナプス形成:切実にシナプスを求める

SYNAPTOGENESIS:
Desperately Seeking a Synapse

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 186, pp. tw214, 10 June 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.186.tw214]

要約 : 中枢神経系の発達時は、シナプス前構造とシナプス後構造の両方が、発達しつつあるシナプスの形成および再配置において役割を果たすと考えられる、迅速なアクチンに基づく運動を示す。これらの運動の調節において、多くの神経発達プロセスに影響を与えるニューロン活性の役割は議論の的となっている。Tashiroらは、2光子顕微鏡を用いて、新生児マウスの海馬切片培養物について、緑色蛍光タンパク質で標識した顆粒細胞から伸びている苔状繊維の末端での糸状仮足の運動性に対するニューロン活性の役割を研究した。新しい切片および2週間培養した切片中の糸状仮足は、運動性が高かった。自由な細胞外空間と接しており、標的細胞と接する方向とは逆にある糸状仮足の運動性は、3週間の培養後には大きく低下した。薬理学的分析で、この運動性の低下がカイニン酸受容体の活性化によることが明らかになった。カイニン酸は、糸状仮足の運動性に対して用量依存性の二方向性作用を示し、比較的低用量では運動性を増大させ、高用量では運動性を阻害する。薬理学的分析では、異なる下流経路がカイニン酸受容体の活性化および糸状仮足の運動性の阻害を媒介することが示された。活性化は、電圧依存性カルシウムチャンネルの遮断によって阻害されたが、阻害は、ナトリウムチャンネルを遮断するテトロドトキシンと、一部のヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質経路を阻害する百日咳毒素に感受性を示した。シナプスから放出されるグルタミン酸は、2週間の培養物の運動性を増大させたが、より長い培養期間では運動性を阻害した。著者らは、成長している糸状仮足から放出されたグルタミン酸は、シナプス結合部を探す糸状仮足の運動性を増大させるが、シナプス結合部の形成を開始した「成熟」糸状仮足は安定化させる、という2段階モデルを提唱している。

A. Tashiro, A. Dunaevsky, R. Blazeski, C. A. Mason, R. Yuste, Bidirectional regulation of hippocampal mossy fiber filopodial motility by kainate receptors: A two-step model of synaptogenesis. Neuron 38, 773-784 (2003).

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