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神経科学 ハンチントン病の標的となるIP3受容体

NEUROSCIENCE: IP3 Receptors as Huntington's Target

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2003, Issue 193, pp. tw290, 29 July 2003.
[DOI: 10.1126/stke.2003.193.tw290]

要約 : イノシトール1,4,5-三リン酸(IP3R1)1型受容体は、細胞内メッセンジャーIP3に反応して細胞内貯蔵からCa2+を放出するが、この受容体と結合する分子を検索することにより、ハンチントン病として知られる神経変性疾患に関連する、中型有棘線条体ニューロンにおける壊滅的な機能喪失の解明につながる標的が判明した。ハンチントン病は、ハンチンチンタンパク質(Htt)におけるポリグルタミンの伸長によって引き起こされる。Httが伸長した変異体は、野生型タンパク質に比べ、1型Htt結合タンパク質(HAP1)と呼ばれる別のタンパク質と容易に結合する。Tangらは、yeast two-hybrid screeningを行い、HAP1タンパク質がラットIPC3R1のC末端部と結合することを見出した。in vitroおよびin vivoにおいて、IP3R1はHtt、HAP1のいずれかと結合するか、もしくはこれら3種類のタンパク質が複合体を構成すると考えられた。脂質二重層に再構成したIP3R1の機能検定により、IP3R1チャネルのIP3に対する感作は、Httが伸長した変異体がある場合には生じるが、野生型Httの場合には生じないことが示された。初代培養した中型有棘線条体ニューロンに伸長したHttをトランスフェクションすると、Ca2+の細胞内貯蔵からの放出は、少量の代謝型グルタミン受容体アゴニストに対して、さらに感受性が高まった。これまでにHttの標的となる可能性が提案されたうちの一つである、特定のN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)は、活性化されると細胞外のCa2+を細胞内に流入させる。著者らは、変異HttがNMDARおよびIP3R1に及ぼす影響が一体となって、異常に強いCa2+シグナルを誘発し、ニューロンの機能不全やアポトーシスを導く可能性を提示している。

T.-S. Tang, H. Tu, E. Y. W. Chan, A. Maximov, Z. Wang, C. L. Wellington, M. R. Hayden, I. Bezprozvanny, Huntingtin and huntingtin-associated protein 1 influence neuronal calcium signaling mediated by inositol-(1,4,5) triphosphate receptor type 1. Neuron 39, 227-239 (2003).

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