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免疫 Toll受容体は、誰に対して死のシグナルを送るのか

IMMUNOLOGY:
For Whom the Toll Receptor Signals Death

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 225, pp. tw103, 23 March 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2252004TW103]

要約 : 哺乳類が、死をもたらす危険性がある細菌に感染すると、微生物は、宿主の自然免疫系のマクロファージとシグナル伝達争いを繰り広げる。マクロファージにあるToll様受容体が細菌由来の分子を検出すると、マクロファージが活性化され、侵入細胞を排除する。炭疽菌(B. anthracis)はこれに対し、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼを介した抗アポトーシスシグナル伝達を阻害する致死毒素を産生することで対抗する。さらに、Toll様受容体は、抗アポトーシスシグナル、アポトーシスシグナルを共に産生できる。Hsuらは今回、Toll様受容体4(TLR4)によって生成されたシグナルが、活性化マクロファージのアポトーシスを促進することで、侵入者に有利に作用している可能性があることを報告している。著者らは、p38の阻害剤(致死毒素を模倣する)および熱失活したB. anthracisに曝露されたマクロファージが、TLR4の存在に依存してアポトーシスを起こすことを見出した。細胞死を促進するTLR4シグナルは、TLRシグナル伝達を介在することが知られている二本鎖RNA依存性キナーゼ(PKR)を欠損する細胞や、TLR4がPKRを活性化するのに関与するアダプタータンパク質TRIFを欠損する細胞において減少していた。またPKRも、真核生物の翻訳開始因子2α(eIF2α)をリン酸化することで、タンパク質合成を阻害できる。実際、PKRリン酸化部位を破壊した変異型eIF2αを発現させたノックインマウス由来の細胞は、野生型細胞に比べて、リポ多糖類(細菌壁の成分)およびp38阻害剤の組み合わせに対する感受性が低かったことから、eIF2αはPKRの重要な標的であると考えられた。著者らは、PKRの阻害は、致死毒素のような補助的因子を用いてTLRシグナルを致命的作用に変化させることができる、B. anthracisのような細菌を阻害するための治療戦略となる可能性があると記している。

L.-C. Hsu, J. M. Park, K. Zhang, J.-L. Luo, S. Maeda, R. J. Kaufman, L. Eckmann, D. G. Guiney, M. Karin, The protein kinase PKR is required for macrophage apoptosis after activation of Toll-like receptor 4. Nature 428, 341-345 (2004).

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