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サイズの制御 スーパー細胞が隣り合う細胞を打ち負かす

SIZE CONTROL:
Supercells Outcompete Their Neighbors

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 228, pp. tw129, 13 April 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2282004TW129]

要約 : 細胞のサイズや増殖速度を増加させる変異は、器官のサイズや生物体のサイズ、またはその両方を変化させることができる。一部の細胞だけが変異しているモザイク生物体や組織の場合、この状況はさらに複雑で、これらの動物や組織が正常のサイズである場合がある。リボソームタンパク質遺伝子が変異した細胞を発現しているハエの実験により、これらの細胞は隣り合う野生型細胞を効果的に打ち負かさずに排除されたことが示された。このプロセスは「細胞競合」と名付けられた。2つの研究グループが、ハエの羽を形成する前駆細胞において、Drosophila mycdmyc)の発現の変化に応じて生じる細胞競合の現象を調べた。De La Covaらは、dymc過剰発現細胞と野生型細胞から成る羽のサイズは正常であり、この見かけ上正常な羽のサイズは、dmyc過剰発現細胞の近傍にある野生型細胞の死が増加した結果であることを示した。細胞死には、アポトーシス促進性タンパク質をコードするhead involution defectivehid)遺伝子が必要である。dmycの発現を前方領域と後方領域とを分離する一連の細胞に限定したところ、dMycが隣り合う細胞の死を促進できるのは、hidの発現が増加した前方領域の細胞に限られるようであった。Moreno and Baslerも同様の結果を報告し、dmyc遺伝子のコピー数が少ない細胞を失って遺伝子のコピー数を増加させた細胞を持ったクローンにおいて、dMyc量と細胞の増殖との相関を示した。dMycの発現量が少ない細胞におけるアポトーシスによる細胞死は、Decapentaplegic(Dpp)経路の活性化により阻害された(遺伝的手法による)。以上より、限定された生存因子の奪い合いは、dMycのスーパー発現細胞が隣り合う細胞を打ち負かす能力に寄与すると考えられる。本号では、2つの研究グループが異なる結果を報告しており、de La Covaらは、Dpp標的遺伝子の発現は変化しなかったことを示し、Moreno and Baslerは、Dpp標的遺伝子の発現はdMyc過剰発現細胞に隣接する細胞におけるDppシグナル伝達の減少を反映して変化したことを示した。

C. de La Cova, M. Abril, P. Belosta, P. Gallant, L. A. Johnston, Drosophila Myc regulates organ size by inducing cell competition. Cell 117, 107-116 (2004).

E. Moreno, K. Basler, dMyc transforms cells into super-competitors. Cell 117, 117-129 (2004).

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