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視覚 パルミトイル化ライトスイッチ

VISION:
A Palmitoylated Light Switch

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 238, pp. tw219, 22 June 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2382004tw219]

要約 : 視覚は、光によるロドプシンの活性化に依存する。共有結合性のロドプシンアンタゴニストである11シスレチナールは光を吸収し、それが全トランスアゴニスト型への不可逆的光異性化の引き金となり、立体構造の変化を惹起してロドプシンがトランスデューシンを活性化する。全トランスレチナールはオプシンから解離し、全トランスレチノール(ビタミンA)に還元される。レシチンレチノールアシルトランスフェラーゼ(LRAT)は、ビタミンAをエステル化し、高分子量の膜会合型のレチナール色素上皮タンパク質RPE65(mRPE65)に結合する全トランスレチニールエステル(多くはパルミチン酸)を生成する。mRPE65は、全トランスレチニールエステルを移動させて、それらが11シスレチノールに変換されるようにし、それにより、11シスレチナールは再び生成され、視覚は継続される。11シスレチノールは、光の下ではより急速に再生成される。しかし、光がこの視覚サイクルを制御する機構は、ほとんど理解されていない。Xueらは、蛍光定量法を用いて、可溶性のRPE65(sRPE65)がmRPE65に対して相補的なレチノイド結合特異性を示し、全トランスパルミチン酸レチニールに比べてはるかに高い親和性でビタミンAを結合して、全トランスパルミチン酸レチニールへの変換を促進することを示した。昆虫細胞で発現させたmRPE65は、3H-パルミチン酸への曝露により標識されるが、質量分析法により、mRPE65が3重にパルミトイル化されるのに対して、sRPE65はパルミトイル化されないことが示された。LRATは、パルミトイル部分をmRPE65からビタミンAに可逆的に移行させ、sRPE65および全トランスパルミチン酸レチニールを生成した。さらに、11シスレチノールは、mRPE65およびLRATを介するパルミトイル化の基質としての役割も持ち、レチナール色素上皮膜に添加された11シスレチノールは、mRPE65からsRPE65への変換を促進し、それにより自身の生合成を阻害した。以上より著者らは、RPE65のパルミトイル化は、全トランスレチニールエステル供給量の光依存性の増加ならびに、その後のsRPE65からmRPE65への確実な変換により反転される、11シスレチナール合成を制御する分子スイッチとなるのではないかと提案している。

L. Xue, D. R. Gollapalli, P. Maiti, W. J. Jahng, R. R. Rando, A palmitoylation switch mechanism in the regulation of the visual cycle. Cell 117, 761-771 (2004).

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