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生理学 ボディービルを理解する

PHYSIOLOGY:
Understanding Bodybuilding

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 239, pp. tw227, 29 June 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2392004TW227]

要約 : 運動中に筋肉を繰り返し使用すると、細胞の表現型が長期的に変化する。すなわち、解糖性の速筋線維は、代謝能力、収縮性、サイズを変化させ、酸化的遅筋繊維となる。ところで、どのようなシグナルがこうした変化を引き起こし、細胞の過去の経験に関する記憶を貯蔵するのであろうか? Rosenbergらは、原形質膜を通してカルシウムを流入させる非選択的チャネルである一過性受容体ポテンシャル(TRPC3)チャネルの発現の増加が、このプロセスの核心ではないかと述べている。著者らは、レポーター遺伝子を持つトランスジェニックマウスを作成し、カルシウムにより制御される転写因子NFAT(nuclear factor of activated T cells)の活性をモニタリングした。毎日回し車を回転させる厳しいトレーニングを課したところ、影響を受けた筋組織におけるNFAT依存性の転写は増加した。著者らは、培養細胞において、2種類のカルシウムシグナルがNFATの制御に寄与していることを示した。興奮収縮連関に伴う電位依存性のカルシウム放出はNFATを核に移行させるが、核内に引き続き留まるためには原形質膜を通した電位非依存性のカルシウム流入が必要であった。TRPC3チャネルは後者のシグナルを仲介する候補であり、TRPC3をコードする遺伝子の発現は、運動後の筋肉において増加し、カルシウムシグナルにより制御されていた。実際に、筋管細胞にTRPC3をトランスフェクトすると、NFAT依存性のレポーター遺伝子の活性化が増加し、その活性化は対照細胞に比べ長時間持続した。著者らは、活性依存性のTRPC3の発現は、それ自身NFATを介したカルシウムシグナル伝達に依存し、正のフィードバックループの一部としての役割を持つのではないかと述べている。以上より、NFATシグナル伝達経路において重要なTRPC3をコードする遺伝子の発現が比較的安定して増加すると、この経路の持続的活性化の効果が増大し、それにより、運動依存性の表現型が安定化する。

P. Rosenberg, A. Hawkins, J. Stiber, J. M. Shelton, K. Hutcheson, R. Bassel-Duby, D. M. Shin, Z. Yan, R. S. Williams, TRPC3 channels confer cellular memory of recent neuromuscular activity. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101, 9387-9392 (2004).

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