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脳卒中:酸およびニューロン損傷

STROKE: Of Acid and Neuronal Injury

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 252, pp. tw341, 28 September 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2522004tw341]

要約 : 虚血性脳卒中の間、脳への血液供給は途絶される。その後生じる低酸素は、カルシウム流入後、神経細胞死を引き起こし、死亡や重篤な脳損傷につながることもある。低酸素は細胞外グルタミン酸を増加させることから、毒性カルシウム流入の媒介におけるN-メチル-D-アスパラギン酸型グルタミン酸受容体(NMDARs)の役割を中心とした多くの研究が行われている。ところが、グルタミン酸受容体拮抗剤は、臨床的には虚血性脳損傷の予防に効果がないと考えられている(Huang and McNamara参照)。酸化的リン酸化から解糖への切り替えが起きると、低酸素組織のアシドーシスも生じる。アシドーシスは、虚血性脳損傷の一因となることが知られているが、正確なメカニズムは不明である。Xiongらは、培養マウス皮質ニューロンにおいて、細胞外pHが低下すると、酸感受性イオンチャネル(ASIC)を介した内向き電流が活性化されることを示した。ASICはカルシウム透過性で、pHの低下により、細胞内カルシウム濃度は持続的に上昇した。酸素およびグルコースを欠乏させたところ(虚血モデル)、ASIC電流およびグルタミン酸非依存性ニューロン損傷が亢進したが、ASIC遮断薬により、ニューロンはグルタミン酸非依存性アシドーシスが介する損傷(グルタミン酸受容体拮抗剤およびL型カルシウムチャネル遮断薬の存在下で誘導)から保護された。また、ASIC1を欠損したマウスやASIC遮断薬を脳室内投与したラットは、虚血性脳損傷に抵抗性を示した。このin vivoにおける保護作用は、NMDAR遮断でみられる作用より大きく相加的であることから、ASIC遮断薬は虚血性脳損傷の予防に治療上有効であると期待される。

Z.-G. Xiong, X.-M. Zhu, X.-P. Chu, M. Minami, J. Hey, W.-L. Wei, J. F. MacDonald, J. A. Wemmie, M. P. Price, M. J. Welsh, R. P. Simon, Neuroprotection in ischemia: Blocking calcium-permeable acid-sensing ion channels. Cell 118, 687-698 (2004). [Online Journal]
Y. Huang, J. O. McNamara, Ischemic stroke: "Acidotoxicity" is a perpetrator. Cell 118, 665-670 (2004). [Online Journal]

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