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神経科学 パーツの総和より少ない

NEUROSCIENCE:
Less Than the Sum of Their Parts

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 263, pp. tw445, 14 December 2004.
[DOI: 10.1126/stke.2632004tw445]

要約 : Boué-Grabotらは、P2X2受容体(興奮性)とGABAA受容体(抑制性)の共活性化の影響を検討し、これら2つの受容体のサブユニット特異的な相互作用に依存する交差抑制の証拠を突き止めた。γ-アミノ絡酸(GABA)とアデノシン三リン酸(ATP)は、脳および脊髄シナプスにおいてともに放出され、共局在するGABAAおよびP2X受容体を活性化する。Boué-Grabotらは、アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞において、P2X2とともにGABAA受容体サブユニットを発現させ、GABAおよびATPにより誘起される電流を記録した。αおよびβサブユニットだけを含有するGABA受容体を発現する細胞では、これらのチャネルは相互抑制を示した。GABAとATPをともに適用したところ、電流の和は予想より少なく、ATP曝露時に適用したGABAおよびGABA曝露時に適用したATPに対する応答も少なかった。ところが、α、β、γGABAA受容体サブユニットを発現する卵母細胞では、GABAはATPに対する応答を抑制したが、ATPはGABAに対する応答を抑制しなった。相互抑制は、膜電位、電流の方向およびカルシウムの存在に依存せず、カチオン透過性であるが塩素イオン非透過性の変異型GABAA受容体では明白であった。著者らが切断受容体やキメラ受容体を発現させるか、これら2つの受容体の領域をコードするミニ遺伝子を過剰発現させた実験により、P2X2C末端およびGABA β3サブユニット細胞内ループの機能的相互作用への関与が明らかになった。さらに、海馬ニューロンにトランスフェクトしたところ、GABA β3細胞内ループを有するキメラGABA受容体だけが、蛍光標識したP2X2とともに共局在した。以上より、これら2つの受容体の機能的相互作用には、GABAA βサブユニットとP2X2の物理的相互作用が必要なようであり、GABAAのサブユニットの組成が興奮と抑制の全体的なバランスを決定していると考えられる。

É. Boué-Grabot, E. Toulmé, M. B. Émerit, M. Garret, Subunit-specific coupling between γ-aminobutyric acid type A and P2X2 receptor channels. J. Biol. Chem. 279, 52517-52525 (2004). [Abstract] [Full Text]

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