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癌 抑制しすぎると癌になる

CANCER:
Too Much Repression Leads to Cancer

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 268, pp. tw32, 25 January 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2682005tw32]

要約 : ポケモンとして知られる転写抑制因子の発癌における重要な役割を指摘する新しい証拠が提出されている。Maedaらは、ポケモンの除去や過剰発現の影響を調べた。ポケモン(POK赤血球骨髄球性個体発生因子(POK erythroid myeloid ontogenic factor)、LRF、OCZF、FBI-1とも呼ばれる)タンパク質は、POZドメイン(ポックスウイルスジンクフィンガー、BTBドメインとも呼ばれる)とDNA結合ドメインを有するタンパク質のファミリーに属し、これらドメインを介して転写抑制因子として作用する。ポケモンが欠損したマウス胚線維芽細胞は、強力な発癌遺伝子の共発現への影響に対して抵抗性を示した。さまざまな発癌遺伝子とともに発現させたところ、ポケモンは形質転換を亢進し、アポトーシスや老化から細胞を保護した。in vivoにおいて、ポケモンをトランスジェニックマウスモデルにおいてT細胞およびB細胞で過剰発現させると、発癌が促進された。著者らは、CAST(周期的増幅および標的選択)として知られる手法および電気泳動移動度シフト解析を用い、ポケモン結合配列の特徴を明らかにした。結合する可能性がある配列を有する腫瘍抑制遺伝子を検索したところ、腫瘍抑制因子p53とともに発癌遺伝子に対する主要な防御メカニズムとして作用するARFタンパク質が見つかった。マウス胚線維芽細胞においてArfをノックアウトすると、ポケモン欠損による形質転換作用の喪失が正常化したことから、ポケモンによるARF発現の抑制は重要であるようである。ポケモンは、一部のヒト癌において過剰発現しており、ポケモンの発現量は、臨床転帰の予測因子であった。以上より、ポケモンは、形質転換および発癌の重要な制御因子としてのすべての特徴を有しており、転写制御因子を癌治療において有効に利用するためのターゲットとなる可能性がある。

T. Maeda, R. M. Hobbs, T. Merghoub, I. Guernah, A. Zelent, C. Cordon-Cardo, J. Teruya-Feldstein, P. P. Pandolfi, Role of the proto-oncogene Pokemon in cellular transformation and ARF repression. Nature 433, 278-285 (2005). [PubMed]

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