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カルシウムシグナル伝達 IP3受容体のパートナー

CALCIUM SIGNALING:
Partners for IP3 Receptors

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 270, pp. tw50, 8 February 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2702005tw50]

要約 : Snyder研究室からの今週の2報の論文は、イノシトールトリスリン酸受容体(IP3R)と相互作用するタンパク質による、小胞体からのカルシウム放出の制御について述べたものである。Pattersonらは、IP3Rの近傍におけるニコチンアミドアデニンジヌクレオシドNADHの局所産生のメカニズムを説明し、NADHを生成するグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)がIP3Rと直接結合することを示している。酵母ツーハイブリッド法,およびそれに続いて精製タンパク質の結合ならびに共免疫沈降解析を行なうことにより、IP3RはGAPDHに直接結合することが示された。また、この相互作用にはGAPDHの活性部位システインおよびIP3Rの981〜1000アミノ酸領域にある2つのシステインが関与していたことから、ジスルフィド架橋の可能性も示唆された。IP3Rを脂質小胞に再構成したところ、GAPDHとNAD+がともに存在するとき、IP3に応じてCa2+の流出入が増加したことから、GAPDHの触媒活性は、IP3R活性を増強することが知られているNADHにNAD+を変換している可能性が示された。GAPDHと結合できない変異型のIP3Rを発現する細胞のミクロソーム調製画分では、Ca2+の流出入はGAPDHおよびNAD+を加えても増加しなかった。この相互作用は、細胞のエネルギー状態の変化を、IP3Rの機能やカルシウムシグナル伝達と密接に関連づけている可能性がある。実際に、低酸素状態時やミトコンドリア呼吸阻害時の細胞死に伴う細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)の病理学的増加に寄与している可能性もある。Boehningらは、この[Ca2+]iの病理学的増加がアポトーシス刺激に応じて生じるメカニズムを追跡し、チトクロームcとIP3Rとの相互作用を遮断して細胞死を阻害するペプチド性阻害薬について述べている。現在の研究は、チトクロームcがネガティブフィードバック経路であるカルシウムを介したIP3Rの阻害を遮断し、毒性の高い[Ca2+]iの増加に寄与することを示した過去の研究を追跡している。Boehningらは、1型IP3Rのチトクロームc結合部位には2つのグルタミン酸残基が関与しており、この相互作用は、チトクロームcと他の多くのタンパク質との相互作用に特徴的な静電相互作用により媒介される可能性が高いことを突き止めた。同氏らは、チトクロームcとIP3Rとの相互作用を遮断する細胞透過性ペプチドを作製し、このペプチドが、FasリガンドをJurkat Tリンパ腫細胞に適用することで誘導されるアポトーシスや、HeLa細胞においてスタウロスポリンにより誘導されるアポトーシスを減少させることを明らかにした。また、Fasリガンドは、チトクロームcをミトコンドリア分画から低比重膜分画(小胞体を含む)へと移動させ、免疫共沈降で検出できるチトクロームcとIP3Rとの相互作用を促進した。驚くべきことに、細胞死を阻害する細胞透過性ペプチドは、Fasリガンドで処理したJurkat細胞およびスタウロスポリンで処理したHeLa細胞のいずれにおいても、カルシウム動員を減少させなかった。したがって、このペプチドが細胞生存作用を示すメカニズムは依然不明である。

R. L. Patterson, D. B. van Rossum, A. I. Kaplin, R. K. Barrow, S. H. Snyder, Inositol 1,4,5-trisphosphate receptor/GAPDH complex augments Ca2+ release via locally derived NADH. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 102, 1357-1359 (2005). [Abstract] [Full Text]
R. Boehning, D. B. van Rossum. R. L. Patterson, S. H. Snyder, A peptide inhibitor of cytochrome c/inositol 1,4,5 trisphosphate receptor binding blocks intrinsic and extrinsic cell death pathways. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 102, 1466-1471 (2005). [Abstract] [Full Text]

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