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ニューロン遊走 グリアはニューロンのGRIPを捕まえる

NEURONAL MIGRATION:
Glia Get a GRIP on Neurons

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 271, pp. tw62, 15 February 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2712005tw62]

要約 : 脳の発達期に小脳顆粒細胞が遊走するためには、グルタミン酸と、D-セリンまたはグリシンのいずれかにより、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体が活性化される必要がある。顆粒細胞の遊走は放射状グリア細胞により誘導されるが、両細胞間の相互作用には、通常のシナプス形成は必要ないようである。Kimらは、ベルグマングリア細胞におけるセリンラセマーゼによるD-セリンの産生が、小脳での顆粒細胞遊走を制御するケモカインシグナル伝達メカニズムに関与すると報告している。D-セリンは、グルタミン酸によるAMPA受容体活性化ののち、グリアで生成される。著者らは、ツーハイブリッド法を用いてスクリーニングし、セリンラセマーゼが、グルタミン酸受容体結合タンパク質(GRIP)のPDZドメインに結合することを突き止めた。GRIPは、グリアにおいて活性化AMPA受容体と会合する。内因性GRIP、AMPA受容体、セリンラセマーゼが、グリアの初代培養細胞で検出された。培養グリアのAMPA受容体を活性化するとD-セリンの分泌が増加したのに対し、AMPA受容体拮抗剤で処理するとD-セリンの基礎産生が阻害された。培養したグリアまたは出生後のマウスの小脳グリア細胞において、GRIPのPDZドメインを過剰発現させたところ、AMPA受容体が活性化されていない場合でも、D-セリン産生は増加した。マウス小脳切片をセリンラセマーゼ阻害剤またはD-セリン分解酵素のいずれかで処理したところ、顆粒細胞遊走が60%減少した。著者らは、ベルグマングリアのAMPA受容体をグルタミン酸で活性化すると、GRIPとセリンラセマーゼとの会合が起きるのではないかと述べている。この酵素はその後、放出されると顆粒細胞のNMDA受容体にグルタミン酸とともに作用するD-セリンを生成する。以上より、ベルグマングリアは、通常のシナプス伝達に依存するのではなく、神経調節物質としてD-セリンを放出することによりニューロン遊走を制御する。

P. M. Kim, H. Aizawa, P. S. Kim, A. S. Huang, S. R. Wickramasinghe, A. H. Kashani, R. K. Barrow, R. L. Huganir, A. Ghosh, S. H. Snyder, Serine racemase: Activation by glutamate neurotransmission via glutamate receptor interacting protein and mediation of neuronal migration. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 102, 2105-2110 (2005). [Abstract] [Full Text]

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