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細胞周期 ゴルジ体におけるチェックポイント制御

CELL CYCLE:
Checkpoint Control at the Golgi

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 273, pp. tw77, 1 March 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2732005tw77]

要約 : 哺乳類細胞は、有糸分裂に際して娘細胞への正しい染色体分離を確保するために、チェックポイント制御メカニズムを利用している。チェックポイント経路が欠陥を感知すれば、細胞は分裂中期で停止する。細胞分裂の際には、ゴルジ体のような細胞小器官も等しく分配されなければならない。しかし、有糸分裂時に細胞小器官の完全性を感知する類似のチェックポイント経路が存在するかどうかは分かっていない。Preisingerらは、ゴルジ体の形態と細胞周期の制御との関連を調べ、有糸分裂の開始を調節すると考えられるシグナル伝達経路を同定した。GRASP65はゴルジ膜の構成成分であり、有糸分裂開始前のゴルジ体の断片化に必要である。著者らは、GRASP65のC末端が、主に有糸分裂キナーゼCdk1-サイクリンBによりリン酸化されることを突き止めた。また、GRASP65は、正常な紡錘体機能に必要な酵素であるpolo様キナーゼ1(Plk1)によっても多少リン酸化される。ゴルジ体のGRASP65のCdk1-サイクリンBコンセンサス部位のリン酸化は、正常ラット腎臓(NRK)細胞において免疫蛍光法により可視化でき、有糸分裂の開始と相関した。Plk1は、有糸分裂細胞抽出液のGRASP65とゴルジタンパク質GM130の複合体中に検出されたが、検出されたのはGRASP65がCdk1-サイクリンBによりリン酸化された場合に限られていた。このことから、有糸分裂キナーゼはGRASP65上にPlk1に対するドッキング部位を形成することが示唆された。RNA干渉によりPlk1を細胞から欠乏させたところ、有糸分裂によってゴルジが断片化してクラスターを形成するのが減少した。NRK細胞にGRASP65のC末端を過剰発現させたところ、有糸分裂の開始は停止するのではなく遅延した。一方、Plkと結合できない変異を有するGRASP65のC末端を発現する細胞は、正常に有糸分裂を終えた。紡錘体の形成と染色体の凝集は、変異C末端の存在下で正常なようであったことから、有糸分裂の過程はGRASP65に会合したPlk1がゴルジ体に及ぼす影響に大きく依存している可能性がある。ゴルジ体に会合したPlk1は、娘細胞へ均等に分割される前に、適切なゴルジ体の断片化を感知して確保するために重要な他の基質に作用しているのかもしれない。

C. Preisinger, R. Korner, M. Wind, W. D. Lehmann, R. Kopajtich, F. A. Barr, Plk1 docking to GRASP65 phosphorylated by Cdk1 suggests a mechanism for Golgi checkpoint signaling. EMBO J. 24, 753-765 (2005). [Abstract] [Full Text]

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