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生殖戦略 BMP-15:多産でないことの分子的しるし?

REPRODUCTIVE STRATEGIES:
BMP-15: A Molecular No Littering Sign?

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Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 280, pp. tw142, 19 April 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2802005tw142]

要約 : 人間の女性は一人の赤ちゃんを産むのが普通であるが、多くの哺乳類は多排卵で、複数の子供を産むことが多い。排卵数の制御には、卵母細胞が分泌する骨形成タンパク質15(BMP-15)が関与すると考えられているため、Hashimotoらは、異なる種の排卵戦略を決定するうえで、BMP-15系の種特異的な違いがどのような役割を担っているか検討した。ヒトBMP-15またはマウスBMP-15のいずれかのcDNAをコードする発現プラスミドをヒト293T細胞において発現させたところ、ヒトBMP-15は培地に分泌されたのに対し、マウスBMP-15は分泌されなかった。さらなる解析により、293T細胞とチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のいずれにおいても、マウスBMP-15プロタンパク質のプロセシングの欠損が明らかになり、ヒトBMP-15のプロセシングとは対照的に、成熟型のマウスBMP-15は産生されていないことが分かった。複数のマウス‐ヒトキメラタンパク質を解析したところ、成熟マウスBMP-15の産生不全はマウスプロタンパク質のプロ領域に依存しており、この領域は成熟ヒトBMP-15の産生も同様に減少させるが阻害はしないことが示された。以上より、マウスの特徴ともいえる多産は、成熟BMP-15の産生・分泌不全によるのではないかと著者らは述べている。

O. Hashimoto, R. K. Moore, S. Shimaski, Posttranslational processing of mouse and human BMP-15: Potential implication in the determination of ovulation quota. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 102, 5426-5431 (2005). [Abstract] [Full Text]

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