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シナプス可塑性 カルシウムシグナル伝達の幾何学

SYNAPTIC PLASTICITY:
Geometry of Calcium Signaling

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 285, pp. tw194, 24 May 2005.
[DOI: 10.1126/stke.2852005tw194]

要約 : N-メチル-D-アスパラギン酸型グルタミン酸受容体(NMDAR)を介したCa2+流入に続いて起こる細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)の変化は、学習と記憶に関与すると考えられているシナプス機能の長期的可塑性変化において重要な役割を果たしている。中枢神経系のほとんどの興奮性シナプスは、樹状突起棘に形成される。樹状突起棘は樹状突起幹にある小突起で、これによって [Ca2+]iの変化が個々のシナプスに留まったままになることが可能でなる(Hayashi and Majewski参照)。Noguchiらは、Ca2+イメージング・ホールセルパッチクランプ法を組み合わせたケージドグルタミン酸の二光子光分解を用い、ラット海馬切片においてニューロンの個々の棘を刺激し、Ca2+シグナル伝達に対する棘構造の影響を調べた。NMDAR依存性の電流は、棘頭部の容積に伴って増加した。しかし、棘頭部におけるNMDARを介した[Ca2+]iの増加は小容積の棘で最大となるのに対して、棘底部における樹状突起幹の[Ca2+]iの増加は大容積の棘で最大であった。Ca2+の処理におけるこうした違いは、棘頚部の形状に依存していた。大きな棘の頚部は、小さな棘の頚部に比べて、より急速なCa2+の流出が可能であった(そのため、棘頭部の[Ca2+]iの区画化が減少した)。NMDARおよびa-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸型受容体(AMPAR)を介した電流の測定により、棘の大きさが増加するに従って、NMDAR依存性電流に対するAMPAR依存性電流の割合は増加していたことが示された。以上より、小さな棘はサイレントシナプス(silent synapse)として機能しているのではないかと著者らは述べ、Ca2+の処理におけるこうした違いが、小さな棘において、[Ca2+]iの変化に依存する長期増強の優先的誘導を可能にすると結論づけている。

J. Noguchi, M. Matsuzaki, G. C. R. Ellis-Davies, H. Kasai, Spine-neck geometry determines NMDA receptor-dependent Ca2+ signaling in dendrites. Neuron 46, 609-622 (2005).[Online Journal]

Y. Hayashi, A. Majewski, Dendritic spine geometry: Functional implication and regulation. Neuron 46, 529-532 (2005). [Online Journal]

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