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ミエリン化 III型NRG-1はシュワン細胞を誘導する

MYELINATION:
NRG-1 Type III Instructs Schwann Cells

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Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 300, pp. tw318, 6 September 2005.
[DOI: 10.1126/stke.3002005tw318]

要約 : シュワン細胞は、多数の小さな無髄軸策を覆うRemak束を形成したり、軸策の周囲に厚いあるいは薄いミエリン鞘を形成したりできる。一般に、軸策のサイズは被鞘形成やミエリン化と相関し、軸策が厚いほどミエリンも厚くなる。このほど、Traveggiaらは、III型ニューレグリン-1(NRG-1)がシュワン細胞に対するシグナルとして機能し、ニューロンのIII型NRG-1濃度が低ければ被鞘形成が起こり、濃度が高ければ厚いミエリン化が起こることを示している。ラットのシュワン細胞を野生型またはIII型NRG1 -/-マウス由来の後根神経節(DRG)ニューロンと培養したところ、シュワン細胞は野生型の神経突起を確実にミエリン化したが、III型NRG-1を欠損する神経突起はミエリン化しなかった。III型NRG-1を欠損するDRG細胞においてIII型NRG-1を強制発現させると、シュワン細胞は神経突起をミエリン化でき、場合によっては、ミエリンは野生型の神経突起を取り巻くものと比べて2倍もの厚さとなった。典型的なRemak束を形成する細胞[上頚神経節(SCG)由来の神経成長因子(NGF)依存性の交感神経細胞]、薄いミエリン鞘を有する細胞(DRGのNGF依存性ニューロン)、あるいは厚いミエリン鞘を有する細胞(DRGの脳由来神経栄養因子(BDNF)またはニューロトロフィン3(NT3)依存性ニューロン)についてIII型NRG-1の発現量を解析したところ、III型NRG-1の発現量はBDNFおよびNT3依存性ニューロンで最も高く、SCGニューロンで最も低い(ほぼ検出不可能)ことが判明した。SCGニューロンにおいてIII型NRG-1を強制発現させたところ、シュワン細胞との共培養実験では、これらのニューロンのミエリン化が促進された。チャイニーズハムスター卵巣細胞においてIII型NRG-1を発現させてもこれらの細胞のミエリン化や鞘形成が促進されなかったことから、III型NRG-1はミエリン化に必須であるが十分ではなかった。III型NRG1 -/+マウスは薄いミエリンによるRemak束の異常やミエリン形成不全および有髄軸策数の減少を示し、このことはIII型NRG-1の閾値効果と一致する。III型NRG-1は、培養ニューロンのリガンド結合解析によると軸策の表面に存在し、可溶型のIII型NRG-1細胞外ドメインは、III型NRG-1欠損ニューロンのミエリン化を促進できなかった。以上より、III型NRG-1は、シュワン細胞の被鞘形成やミエリン化に対する軸策表面上の誘導性ジャクスタクラインシグナルとして機能するようである。

C. Taveggia, G. Zanazzi, A. Petrylak, H. Yano, J. Rosenbluth, S. Einheber, X. Xu, R. M. Esper, J. A. Loeb, P. Shrager, M. V. Chao, D. L. Falls, L. Role, J. L. Salzer, Neuregulin-1 type III determines the ensheathment fate of axons. Neuron 47, 681-694 (2005). [PubMed]

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