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免疫 ミトコンドリアからの抗ウイルスシグナル伝達

IMMUNOLOGY:
Antiviral Signaling from the Mitochondria

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 301, pp. tw324, 13 September 2005.
[DOI: 10.1126/stke.3012005tw324]

要約 : 細胞内ウイルス二本鎖RNA(dsRNA)は、dsRNAと結合するC末端ドメインおよび2つのN末端カスパーゼ会合ドメイン(CARD)を持つタンパク質RIG-1により検出される。RIG-1は、異なる経路を介してNF-κB、IRF3、ATF2といった複数の転写因子の協調的な活性化を促進する。これらの転写因子は共同で作用してインターフェロンβ(IFN-β)などの1型インターフェロンの発現を調節し、ウイルス感染に対する応答を促進する(McWhirterら参照)。CARDドメインは、他のCARDドメインと結合する。このことから、Sethらは、MAVS(ミトコンドリア抗ウイルスシグナル伝達)と名づけたN末端CARDドメインを持つ新規のタンパク質のRIG-1の下流作用の仲介における役割を調べた。

HEK293細胞においてMAVSを過剰発現させたところ、IRF-3、NF-κB、およびATF-2を活性化するJNKが活性化され、IFN-βプロモーターにより制御されるルシフェラーゼレポーターの転写が活性化され、内因性IFN-βの量が増加した。siRNAを用いたMAVSのサイレンシングによって、センダイウイルス、poly(I:C)(ウイルスdsRNAを模倣する)あるいはRIG-1のN末端フラグメントの過剰発現によるIFN-βの発現が消滅した。さらに、MAVSの過剰発現によって、水胞性口内炎ウイルス(VSV)を介する死から細胞が保護されたのに対して、MAVSのサイレンシングによって細胞は感作された。変異解析により、MAVSのCARDドメインおよびC末端膜貫通領域は、MAVSのシグナル伝達にとって必要かつ十分であることが示された。共焦点顕微鏡法や細胞分画法は、いずれもMAVSがミトコンドリアに局在することを示した。ミトコンドリアへの局在は膜貫通ドメインに依存し、この配列をミトコンドリア膜タンパク質(Bcl-xLまたはBcl-2)の類似のドメインで交換するとMAVS活性が保存されたのに対して、他の膜に標的化すると活性が減少した。以上より、MAVSはRIG-1の下流で作用してウイルス感染に対する応答を調整し、ミトコンドリアと免疫応答との意外な関係をもたらす新規のタンパク質であるようである。他の2つのグループ(XuらおよびKawaiら)は、同じタンパク質をRIG-1の下流で作用してIFN-βの発現を活性化するアダプターとして同定している。

R. B. Seth, L. Sun, C.-K. Ea, Z. J. Chen, Identification and characterization of MAVS, a mitochondrial antiviral signaling protein that activates NF- B and IRF3. Cell 122, 669-682 (2005). [PubMed]

L.-G. Xu, Y.-Y. Wang, K.-J. Han, L.-Y. Li, Z. Zhai, H.-B. Shu, VISA is an adapter protein required for virus-triggered IFN-s signaling. Mol. Cell. Published online 8 September 2005 (doi: 10.1016/S109727650501556X). [Online Journal]

T. Kawai, K. Takahashi, S. Sato, C. Coban, H. Kumar, H. Kato, K. J. Ishii, O. Takeuchi, S. Akira, IPS-1, an adaptor triggering RIG-1- and Mda5-mediated type 1 interferon induction. Nat. Immunol. Published online 28 August 2005 (doi: 10.1038/ni1243). [PubMed]

S. M. McWhirter, B. R. tenOever, T. Maniatis, Connecting mitochondria and innate immunity. Cell 122, 645-647 (2005). [PubMed]

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