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メカノセンサー 流体剪断応力センサーとしてのPECAM-1

MECHANOSENSORS:
PECAM-1 as Fluid Shear Stress Sensor

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 302, pp. tw333, 20 September 2005.
[DOI: 10.1126/stke.3022005tw333]

要約 : 血管内皮細胞の流体剪断ストレスに対するメカノセンサー応答は、血管系の正常な制御に不可欠であり、血流が阻害された分岐部位で起こるアテローム性動脈硬化病変の形成においても重要な要因である。今週掲載されている2つの論文は、PECAM-1(血小板内皮細胞接着分子1)の剪断ストレス感知における中心的役割に焦点を当てている。Tzimaらは、活性化αVインテグリンのみを認識する抗体Fabフラグメントを用いて、PECAM-1またはもう1つの接着分子であるVE-カドヘリン(血管内皮細胞カドヘリン)を欠損する内皮細胞の応答を観察した。いずれかの分子を欠損する細胞は、細胞外液の流れ方向へのアクチンフィラメントの通常の配向やNF-κB依存性転写の活性化を示さなかった。(PECAM-1-/-細胞では、剪断ストレス誘導性のチロシンキナーゼSrcの活性化やその結果として起こるホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)およびインテグリンの活性化が生じなかったのに対し、VE-カドヘリン-/-細胞ではSrcは活性化されたものの、さらに下流のシグナルは活性化されなかった。)著者らは、抗体でコートした磁性ビーズを用いて接着分子に選択的に力を加えることにより、PECAM-1がメカノセンサーとして直接作用することを示した。VE-カドヘリンのストレス感知への寄与は、細胞接着における機能とは独立のようであった。それどころか、免疫沈降法により、VE-カドヘリンがもう一つの重要なシグナル伝達分子であるVEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2)をPI3Kと結びつけるアダプタータンパク質であることが示された。PECAM-1、VE-カドヘリン、VEGRF2をCOS-7サル細胞に強制発現させたところ、これらの成分は細胞を外液の流れに対して、配列させる上で十分であることが示された。また、疾患の徴候に寄与すると考えられているNF-κB転写因子やその他の遺伝子の活性化がPECAM-1-/-マウスの大動脈において検出されなかったことから、PECAM-1がアテローム性動脈硬化発生の初期段階に寄与している可能性は高い。Flemingらは、内皮細胞でのPECAM-1のプロテインキナーゼAktおよび血管内皮型一酸化窒素合成酵素(血管拡張剤である一酸化窒素を産生する)の剪断ストレス誘導性の活性化における役割を示す証拠を提示している。ところが、PECAM-1を欠損する細胞では上述のストレス誘導性応答を示さないものの、アデノシン一リン酸活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化は影響されないことから、PECAM-1は唯一のメカノセンサーではないようだとも記している。以上より、「血流の力学的刺激に対する血管内皮細胞の応答は、さまざまな細胞内部位において、複数のシグナル伝達ネットワークを統合する応答を反映している可能性が高い」と著者らは結論づけている。

E. Tzima, M. Irani-Tehrani, W. B. Kiosses, E. Dejana, D. A. Schultz, B. Engelhardt, G. Cao, H. DeLisser, M. A. Schwartz, A mechanosensory complex that mediates the endothelial cell response to fluid shear stress. Nature 437, 426-431 (2005). [PubMed]

I. Fleming, B. Fisslthaler, M. Dixit, R. Busse, Role of PECAM-1 in the shear-stress-induced activation of Akt and the endothelial nitric oxide synthase (eNOS) in endothelial cells. J. Cell Sci. 118, 4103-4111 (2005). [Abstract] [Full Text]

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