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オートファジー Bcl-2、死に対抗するタンパク質

AUTOPHAGY:
Bcl-2, the Antideath Protein

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 305, pp. tw352, 11 October 2005.
[DOI: 10.1126/stke.3052005tw352]

要約 : 細胞は、カスパーゼが関与するアポトーシス性細胞死とリソソームが関与するオートファジー性細胞死という少なくとも2つの経路を用いて、細胞死を引き起こすことができる。Bcl-2は抗アポトーシスタンパク質としての役割がよく知られているが、Pattingreらは今回、Bcl-2にはベクリン1との相互作用を介してオートファジーを阻害する働きもあることを示している。酵母のオートファジー再構成系と2つのトランスフェクトされた哺乳動物細胞系を用いて調べたところ、Bcl-2はベクリン1を介するオートファゴソームの形成を阻害することが明らかになった。この阻害は、これら2つのタンパク質間の相互作用を仲介する機能的結合部位が必要なメカニズムをによって起こる。ベクリン1とBcl-2との相互作用は、免疫共沈降法によりBcl-2を過剰発現するHT-29細胞で確認され、ベクリン1は、細胞分画法および共焦点顕微鏡法により、小胞体膜およびミトコンドリア膜(Bcl-2が存在する部位)で同定された。Bcl-2を過剰発現するHT-29細胞において、III型ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)活性を有するhVps34とベクリンとの複合体の形成が阻害された。また、ベクリン1とPI3P(ホスファチジルイノシトール3-リン酸)との共局在化も阻害された。これらのことから、Bcl-2はベクリン1-hVSP34複合体のPI3K活性を阻害すると考えられた。ベクリン1とBcl-2をともに内因性発現するHeLa細胞では、Bcl-2とベクリン1は富栄養条件下で免疫共沈し、この相互作用は細胞を栄養飢餓状態にすると減少した。HeLa細胞において、Bcl-2をsiRNAによりノックダウンしたところ、野生型濃度のBcl-2を持つ飢餓細胞と比べ、飢餓条件下でのオートファゴソームの数が増加した。Bcl-2をトランスジェニックマウスの心筋において強制発現させたところ、飢餓48時間後のマウスに現れるオートファゴソームの数が減少した。MCF7細胞(野生型ベクリン1を持たない)では、Bcl-2と結合できないベクリン1の変異体を発現させると、飢餓により誘導される構造だけでなく定常状態でのオートファゴソームも増加した。さらに、これらの細胞は、通常の条件および飢餓条件下で細胞死を引き起こしやすかった。オートファジータンパク質ATG5をRNAiによりノックダウンすると、この細胞死は阻害された。以上より、Bcl-2はこれまで考えられていたよりも普遍的な細胞死の阻害剤であると思われる。

S. Pattingre, A. Tassa, X. Qu, R. Garuti, X. H. Liang, N. Mizushima, M. Packer, M. D. Schneider, B. Levine, Bcl-2 antiapoptotic proteins inhibit beclin 1-dependent autophagy. Cell 122, 927-939 (2005). [PubMed]

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