味覚 熱いと甘味が増す

TASTE PERCEPTION: Sweeter When It's Hot

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2005, Issue 315, pp. tw452, 20 December 2005.
[DOI: 10.1126/stke.3152005tw452]

要約 : 砂糖水は、温かい方が甘く感じる。Talaveraらはこの現象の分子メカニズムを提供している。研究者らは、一過性受容体電位(TRP)ファミリーのメンバーであるTRPM5およびTRPM4を、熱により活性化されるカルシウム依存性陽イオンチャネルとして同定した。TRPM5とその関連タンパク質であるTRP4は、カルシウム非透過性の陽イオンチャネルである。ヒト胚性腎(HEK)293細胞で発現させたところ、15〜35℃の範囲において、これらのタンパク質は温度の上昇に応じて電位依存性が変化し、温度が高いほどチャネルはより活発になった。これらのチャネルはカルシウムイオンを透過させないにもかかわらず、熱によるチャネルの活性化には、細胞内カルシウムの存在が必要であった。したがって、これらのチャネルは、温度に加えて味覚受容体を活性化する味覚リガンドの存在などの細胞内カルシウム濃度を上昇させる刺激も感知する同時検出器として機能すると考えられる。実際に、TRPM5を欠損するノックアウトマウスは高温下でも甘味化合物に対する応答性の増加(鼓策神経刺激)を示さなかったのに対し、野生型のマウスは温度を上昇させると甘味に対する応答は増加したが、苦味やうま味に対する応答は増加しなかった。以上より、TRPM5の熱活性化は、温かく甘い味がより甘くなる感覚の基礎をなすようである。

K. Talavera, K. Yasumatsu, T. Voets, G. Droogmans, N. Shigemura, Y. Ninomiya, R. F. Margolskee, B. Nilius, Heat activation of TRPM5 underlies thermal sensitivity of sweet taste. Nature 438, 1022-1025 (2005). [PubMed]

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